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LOGISTICS NEWS

ドライバーと違法薬物 スクリーニング検査など日常的に抑止活動を

更新日 : 2021.10.05
ドライバーと違法薬物 スクリーニング検査など日常的に抑止活動を
違法薬物での検挙者数は増加している。令和2年の薬物事犯全体の検挙人員は過去10年で最多。覚醒剤事犯の検挙人員は減少しているものの、大麻事犯の検挙人員が7年連続で増加し、過去最高を更新した。大麻は20歳以下の若年層を中心に平成26年以降増加が続いており、簡単に入手できることもあって、非常に深刻な状況となっている。新型コロナをはじめ、様々なストレスから、物流業界においても、違法薬物に安易に手を出さないように抑止活動が重要だ。
平成30年中の飲酒運転検挙者は2万6602人(警察長交通局「平成30年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締状況について」)で、違法薬物検挙者数は1万3862人(平成31年3月警察庁組織犯罪対策部組織犯罪対策企画課公表資料「平成30年における組織犯罪の情勢」より抜粋)と、飲酒運転検挙者の約半分ほどの人員が、毎年、薬物事犯で検挙されている。
厚労省麻薬取締官事務所で薬物犯罪捜査の第一線で活躍した経験を持つ、日本薬物問題研究所専務理事、国際麻薬情報フォーラム副代表理事の瀬戸晴海氏は、「カナダやアメリカなどでは、嗜好品としての大麻が合法化されているため、日本で間違った知識が氾濫している」と話す。
「インターネット上などで大麻は『害がない』『依存性もない』といった誤った情報が流されているが、脳機能や呼吸器、生殖機能などへの障害があるほか、大麻使用下では交通事故の危険性もあり、使用した人の3割が、さらに刺激を求めて覚醒剤などに手を出している」とし、「こうした危険性から、日本を含めた多くの国が大麻を禁止している」という。
では、なぜ、大麻経験者が若年層を中心に爆発的に増えているのか。その要因について、瀬戸氏は「スマホの普及により、ツイッターなどで隠語を使った違法薬物の販売情報が発信されており、誰もが簡単に情報を得ることができるようになった」とし、その上で「追跡できなくするアプリを入れれば身元を知られずに、犯罪情報にアクセスできる。1g(3回分)5000円から7000円なので入手しやすいのも要因」としている。
「飲酒運転根絶」及び「違法薬物の影響による交通事故ゼロ社会の実現」のためにサービスを展開するネクストリンク(中村訓秀社長、東京都品川区)では、尿検査で陽性反応が出るのが3日から4日前の接種に限られているため、捕まえる時は「所持」で捕まえることから、違法薬物摂取者はもっと多いと考えているという。
中村社長は、「運輸業界でもいまだにドライバーが違法薬物で検挙されてしまう事例は少なくない」としながらも、「海外ではアルコール&ドラッグといわれるように、アルコールとドラッグの対策は同じように日常的に考えられている。日本でも違法薬物に手を出さないように、日常的に抑止活動を行う必要がある」と指摘する。
同社では、タイの日系の食品企業で毎月4万人ほど行っている薬物検査とその精度に注目し、その技術を借りて、日本国内の物流業界向けに薬物スクリーニング検査サービスや薬物依存症予防教育の提供を開始。雇用前検査、定期的な検査、全社員検査、事故後の検査とそれぞれのタイミングで行うことができ、首元の皮脂を専用のガーゼでふき取り、検体を提出するだけなので、導入ハードルも低くなっている。
また、違法薬品で検挙された場合に公表する企業は少ないが、公表企業が多いバス会社などでは、「薬物使用による会社へのリスクは身近に存在している」と認識しており、積極的に薬物乱用抑止に取り組む会社が増えている。
北海道北見バス(福村泰司社長、北海道北見市)では、ネクストリンクの薬物検査スクリーニング検査を新入社員の入社時に導入。公共交通を担っているので、入社時から安全を意識してもらうための一環として、違法薬物乱用の抑止を行っているとしている。
大麻は若年層を中心に誰でも簡単に入手できる。彼らが初めて薬物を使用したきっかけの多くが「好奇心・興味本位」によるもの。トラックドライバーも入手しようと思えば簡単に手に入れることができる状況にあるため、間違った知識で違法薬物に関心や興味を持たないようにするためにも、会社や業界で抑止していく必要があるのではないだろうか。
◎関連リンク→ 株式会社ネクストリンク
株式会社ネクストリンク