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LOGISTICS NEWS

物流DX元年 進まぬ現状にデジタル化で第一歩

更新日 : 2022.01.14
物流DX元年 進まぬ現状にデジタル化で第一歩
デジタル技術を活用して企業体制や事業を革新することで、生産性や競争力を上げ収益を増加させる取り組み。すなわち、デジタルトランスフォーメーション(DX)は、新たな時代に企業として生き残っていくためには必要なことだとして、経産省が推進している。だが、過去の技術や仕組みで構築されているレガシーシステムから脱却できず、DXが進んでいないのが現状だ。
2021年の年頭に、物流システムに詳しい東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授が「今年はコロナの影響もあって物流の本格的なDX元年だと考えている」(弊紙新年号インタビューより)と述べていたが、物流業界では、まだまだ多くの企業がDXを進められていない状況にある。
なぜ、DXが進まないのか。その理由として、「DXが何かをわかっていない」「進め方がわからない」「推進できる人材がいない」ということが考えられる。DXとはデジタル化という意味ではないが、そもそもデジタル化が進んでいなければ、DXに取り組むこともできない。
軽貨物運送のドライバーを組織化し、業務の見える化、ペーパレス化が行えるシステムを開発して取り入れるなど、早くからDX化を進めている軽貨物運送会社のインテンツ(田中靖丈社長、大阪市淀川区)。
同社は、元公認会計士でM&Aなどを専門に、バブル後の企業再生を多く行っていた田中社長が、業績不振の軽貨物運送会社から事業譲渡されて引き継いだ。2016年5月に、軽バン30台、社員ドライバー30人、委託ドライバーあわせて50台でスタートした。
田中社長は「会社を引き継いで直ぐに、社内チャットツールを導入し、ほとんどの業務をチャットツールで終わらすようにした」とし、「ドライバーの採用面接では、必ずスマホを持っている人で、使い慣れている人のみ採用している」として、同社にとってデジタル機器は仕事をする上で無くてはならないツールとなっている。
また、ハード面だけでなく、ソフト面でも、デジタル化が進められている。これによって、業務の効率化や生産性が向上し、社員30人でスタートした同社も今では、400人(パート・アルバイト含む)まで増え、車もグループ全体で1200台、自社化率が80%弱となっている。
3年前には、セイノーホールディングス(田口義隆社長、岐阜県大垣市)のグループに入り成長を続けている。このように業績不振だった同社が、見事に好転することができたのは、まさにDX化によるところが大きい。
また、同社では未経験者を積極的に採用しているため、品質維持が大きな課題となる。そのため、早い段階でマニュアル(手順書)作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」の導入を行っている。
それまで、新人研修に80時間(1日8時間換算で10日間)かかっていたが、導入後は56時間に短縮できた上、400人の従業員の誰もが同じ高い品質で仕事に対応することができている。
「Teachme Biz」を提供しているスタディスト(東京都千代田区)の鈴木悟史社長にDXの推進について話を聞くと、「正確に言うと『Teachme Biz』はDXではなく、デジタルシフト」としながらも、「デジタルシフトすらできなければDXはできない」と話す。
「Teachme Biz」では、文字だらけで人によって解釈が変わるなど非効率だった紙の手順書を動画や写真を使った手順書にし、わかりやすく伝わりやすいものにできる。
労働人口が減っていくなかで、既存の人材に複数の業務を任せられるようにするなど、生産性の向上が求められる。「Teachme Biz」を使えば、誰でも簡単に手順書を作成することができ、その内容を浸透、定着するための機能も充実している。
「製造業の方からよく、DXを進めるためにどうすれば良いかと相談を受けるが、そもそもデジタル化していなければ、DXもできませんとお伝えしている」として、「まずは、現状の業務プロセスを可視化することがデジタル化への第一歩となる」としている。
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