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コラム

給与のデジタル払いが解禁に!

給与のデジタル払いが解禁に!

更新日 : 2022.10.05
給与

 ここ数年で、電子マネーが随分と普及し、キャッシュレス決済も当たり前と感じるようになってきました。どうせなら給与の一部を電子マネーで受け取れたら楽だと考える方もいるのではないでしょうか?

給与のデジタル払いとは?

 労働基準法では、「賃金支払いの5 原則」という定めがあり、賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③全額を、④毎月1 回以上、⑤一定の期日を決めて、支払わなければならないとされています。
デジタルマネーは、硬貨や紙幣などの通貨ではなく、デジタルデータに変換され管理・運用されていて、これによりサービスの利用や物品の購入に使用出来る電子マネーやインターネット上で資産のやりとりができる仮想通貨などがこれにあたります。
現時点では、労基法で現金払いを原則としているため、事業者が給与をデジタルマネーで支払うことは、法に抵触することとなります。
給与のデジタル払いは、今まで例外的に認められてきた銀行などの金融機関を通じた給与支払いではなく、QR コード決済や電子マネーなどの決済を運営する資金移動業者を介して給与を支払う方法です。
厚労省の審議会では、現代の生活様式に対応すべく、また、日本国内で銀行口座の開設が難しい外国人労働者への給与支払いなどのニーズの高まりなどもあり、給与のデジタル払の解禁について、議論が重ねられてきました。
そしていよいよ2023 年の4 月に一定の要件のもと資金移動業者を介した給与のデジタル払いを可能とする労基法施行規則の改正に向け、パブリックコメントが募集されました。

パブリックコメントの概要では、資金移動業者の一定要件として以下の8 項目をあげており、給与のデジタル払いを行う場合には、労働者が銀行口座又は証券総合口座への給与支払も併せて選択できるようにすることと、対象の労働者に対し、資金移動業者を介した給与支払いについて必要な事項を説明した上で、労働者本人の同意を得なければならないことなどについて記載されています。

資金移動業者の一定要件

 【資金移動業者の一定要件】
1)賃金支払に係る口座の残高(以下「口座残高」という。)の上限額を 100 万円以下に 設定していること又は 100 万円を超えた場合でも
 速やかに 100 万円以下にするための措置を講じていること
2)破綻などにより口座残高の受取が困難となったときに、労働者に口座残高の全額を速やかに弁済することができることを保証する仕組みを
 有していること
3)労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰すことができな い理由により損失が生じたときに、その損失を補償する
 仕組みを有していること
4)最後に口座残高が変動した日から、少なくとも 10 年間は労働者が当該口座を利用で きるための措置を講じていること
5)賃金支払に係る口座への資金移動が1円単位でできる措置を講じていること
6)ATMを利用すること等により、通貨で、1円単位で賃金の受取ができ、かつ、少なくとも毎月1回はATMの利用手数料等の負担なく
 賃金の受取ができる措置を講じていること。
7)賃金の支払に係る業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること
8)賃金の支払に係る業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、 十分な社会的信用を有すること。

 パブリックコメントの意見募集の締切りは、2022 年10 月21 日となっています。

詳細:https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495220170&Mode=0
「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」