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コラム

改善基準告示が改正されます②

改善基準告示が改正されます②

更新日 : 2023.02.03
法改正

改善基準告示の特例

 改正前は、拘束時間と休息期間に関する特例に関しては、「特例通達」として別に示されていましたが、今回の改正では、特例部分にも見直しがあり、新しい告示に規定されました。

【特例】は、次のとおりです。

(1)分割休息(継続9 時間の休息期間を与えることが困難な場合)
   ・分割休息は、1 回3 時間以上
   ・休息期間の合計は、2 分割→10 時間以上、3 分割→12 時間以上
   ・3 分割が連続しないよう努める
   ・一定期間(1ヶ月程度)における全勤務回数の2分の1が限度

(2)2人乗務(自動車運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合)
   ・身体を伸ばして休息できる設備がある場合
      →拘束時間を20 時間まで延長し、休息期間を4 時間まで短縮可
  【例外】設備(車両内ベッド)が、要件を満たす(※)場合→拘束時間を更に延長可
      ①拘束時間を24 時間まで延長可
      (但し、運行終了後、継続11 時間以上の休息期間を与える事が必要)
      ②更に8 時間以上の仮眠時間を与える場合、拘束時間を28 時間まで延長可
       ※長さ198 ㎝以上、かつ、幅80 ㎝以上の連続した平面かつクッション材等で走行中の路面等からの衝撃が緩和されるもの

(3)隔日勤務(業務の必要上やむを得ない場合)
   ・2 暦日の拘束時間は21 時間、休息期間は20 時間
  【例外】仮眠施設で夜間4 時間以上の仮眠を与える場合
      →2 暦日の拘束時間を24 時間まで延長可(2 週間に3 回まで)
      (2 週間の拘束時間は126 時間(21 時間×6 勤務)を超えることができない)

(4)フェリー
   ・フェリー乗船時間は、原則として休息期間
   (減算後の休息期間は、フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2 分の1 を下回ってはならない)
   ・フェリー乗船時間が8 時間を超える場合、原則としてフェリー下船時刻から次の勤務が開始される

 特例で、変更がありポイントとなるのは、分割休息についてです。今まで分割休息では、1回の休息が「継続4 時間以上」「1日に合計10 時間以上」が、要件の最低ラインでしたが、1回の休息が「継続3 時間以上」と、長距離運行の実態に即し緩和されています。一方、新たに「3 分割」する際の要件を、「1 日に合計12 時間以上」としました。また、3 分割が連続しないこと、一定期間における全勤務回数の2分の1を限度としています。この点も、一定期間について今までの「2ヶ月程度」を「1ヶ月程度」の期間と短縮し、分割休息は、あくまでも業務上必要な場合の特例であり、分割休息を前提とする運行計画は避け、厳格な運用をするよう求めています。

予期しえない事象への取扱い

 また、新たに、運転者が災害や事故などの「予期し得ない事象」に遭遇し、運行が遅延した場合、その対応に要した時間の拘束時間などについて例外的な取り扱いが定められました。

【予期し得ない事象への対応時間の取り扱い】は、次のとおりです。
   ・予期し得ない事象への対応時間を以下から除くことが出来る
    →1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間
   ・勤務終了後、通常どおりの休息期間を与える
   (継続11 時間以上を基本、9 時間を下回らない)

※予期し得ない事象とは・・・
   ・運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと
   ・運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したこと
   ・運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖されたこと又は道路が渋滞したこと
   ・異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと

 例外的な取り扱いが認められるのは、このような時間の場合で、平常時の交通状況などから発生予測が可能な道路渋滞などは該当しないのはもちろんのこと、客観的な記録については、運転日報上への記録に加え、発生時のリアルタイムな客観資料を残す必要があるとされています。

厚生労働省:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html