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コラム

「シフト制」で労働契約を締結する場合の留意点

「シフト制」で労働契約を締結する場合の留意点

更新日 : 2022.06.01
労務

労働条件の明示について

 運送会社では、ドライバーと労働契約を締結する際に、始業・終業時刻や休日を確定せず(例えば、始業時刻 8 時~終業時刻 17 時、土曜・日曜休日など)、1 週間や1ヶ月ごとに勤務シフトを作成し、労働者は、一定期間ごとに初めて具体的な労働日や労働時間が知らされる「シフト制」とすることが多いのではないでしょうか?
 24 時間 365 日稼働する会社が多い運送業では、「シフト制」は、運用上欠かせない形態ですが、労使間で管理・運用のルールがしっかり共有されていないとトラブルの原因となってしまいます。
 厚生労働省では、トラブルを未然に防ぐことを目的とし、シフト制による労働形態に関して留意事項をまとめ、公表しました。

【労働条件の明示について】
 労働基準法では、労働契約の締結時に、会社は労働者に対して労働条件を明示しなければならないと定められています。労働条件は、書面又は電子的な方法により明示します。明示しなければならない事項は、以下のとおりです。

(厚生労働省:「シフト制労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項」より)労働条件の明示について

始業・終業時刻、休日の明示について

【始業・終業時刻、休日の明示について】
 シフト制の場合、始業・終業の時刻については、「シフトによる」とだけ明示し、具体的な時刻を明示しない会社が多いのではないでしょうか?ですが、始業・終業時刻は、法令上必ず明示しなければならない事項です。そのため、会社は、あらかじめ作成されている直近のシフトがある場合は、そのシフト表、ない場合には、想定されるシフト内容の一覧表等を別紙などとして労働条件通知書とあわせて、対象労働者に渡す必要があります。
 また、休日についてはどうでしょうか?「休日は、〇曜日」と確定していれば、それを明示しますが、特定の曜日を明示できない場合は、休日設定上の最低限の決め方・考え方などを明示します。例えば、「休日数は、1 箇月につき〇日程度・1 週につき 1 日の休日を確保する」などです。

年度更新の変更点

【その他、明示すべき事項について】
 シフト制を運用するにあたって、会社と対象となる労働者の双方で合意しておくべき事項として、シフトの作成・シフト内容を変更する際のルールがあげられます。

◆シフトの作成ルール
 ・シフト作成時に、対象となる労働者からの意見・希望に応じた設定となるのか?
  (例:一定期間で基本となる休日日数、曜日、時間帯の設定など)
 ・シフトの提示は、どのタイミングでどのように行うのか?
  (例:1 箇月分ごと前月の〇日までに、個別にメールで通知する)

◆シフトの変更ルール
  一旦、シフトを確定したあとに、シフト期間の開始前に変更する場合の事業者又は労働者が申し出を行う場合の期限や手続き方法、又は、シフト期間開始後の場合は、どうするのか?などが考えられます。一度確定した後のシフトの変更は、労働条件の変更に該当します。
  そのため、変更する場合は、会社(使用者)と対象労働者の双方の合意が必要となるため注意が必要です。

(参考) 厚生労働省 : https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.html