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LOGISTICS NEWS

超えているかも・・ ドライバーの「過労死ライン」に注意を

更新日 : 2022.11.18
超えているかも・・ ドライバーの「過労死ライン」に注意を
トラック運送業界では現在、働き方改革関連法や改善基準告示の改正など、どんどん厳しくなる労働環境への対応に追われている。しかし、たとえこれらをきちんと守ったとしても、「過労死ライン」を超えている可能性があり、運送事業者は注意が必要だ。厚労省では11月を「過労死等防止啓発月間」と定めており、このタイミングで自社の労働環境を見直してみてはいかがだろうか。
政府は10月21日、「令和4年版過労死等防止対策白書」を閣議決定し、公表した。これによると、令和3年度の業務における過重な負荷により脳・心臓疾患を発症したとする労災請求件数は、「運輸業、郵便業」が155件(全体の20.6%)で前年度に続いて最も多く、労災支給決定件数も59件(同34.3%)で最多となった。
過労死ラインは、「発症日の直近1か月で、残業時間が月100時間を超えていること」「発症日前2~6か月間の残業時間が月平均80時間を超えていること」を基準とされ、さらに昨年9月の改正で、過労死ラインに達していない場合でも、これに近い残業時間や労働時間以外の負荷要因がある場合、過労死等の労災認定を受ける可能性が高くなった。
働き方改革関連法や改善基準告示の改正など、運送事業者が取り組むべき課題は多くなっているが、この「過労死ライン」についても目を背けてはいけない。
日本労働弁護団は今夏、「トラック運転者の労働時間基準のさらなる改善を求める緊急声明」を発表しており、その中で「(改善基準告示における)月間320時間の拘束時間というのは、125時間の時間外労働を意味するもので、いわゆる過労死ラインを大幅に超える」と指摘し、「過労による心身等への悪影響を排除するに足りる月間拘束時間の引き下げを求めるとともに、自動車運転者の健康を害するような拘束時間の規制に対する例外を容認しない」と訴えている。
厚労省では、11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、各都道府県において「過労死等防止対策推進シンポジウム」を行うほか、労働に関する相談を無料で受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」などを行う。
運送事業者もこうした取り組みを活用するなどして、自社で働くドライバーの労働環境や安全管理を見直してみてはいかがだろうか。