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コラム

2022年度の雇用保険料率と年度更新について

2022年度の雇用保険料率と年度更新について

更新日 : 2022.05.06
保険

2022年度の雇用保険料率

 2022 年度の雇用保険料率が、3 月末に国会で決定しました。  雇用保険制度は、労働者の雇用の安定、就業の促進のため、失業者への給付や教育訓練の給付などを行う、国の行う強制保険制度です。
 雇用保険料は、失業等給付や育児休業給付に対しては労使折半で、事業主に対する助成金や能力開発事業といった雇用保険二事業に対する保険料は、事業主が負担します。保険料を算出するための保険料率は、毎年 1 回、財政に応じて見直されますが、今年度は、例外的に 2 段階で引き上げられることが決定されました。
 国は、新型コロナ感染症の拡大を受け、コロナを原因とした休業を余儀なくされた企業に対し、雇用調整助成金などの助成を拡大してきました。この財源を確保するため、一般会計からの予算の繰り入れなども行っていましたが、期間も長引き雇用保険の財政は、圧迫されました。
 引き上げは、2022 年 4 月と 10 月の 2 回分けて行われます。4 月の引き上げでは、事業主負担分のみが引き上げとなります。これは、雇用保険二事業に対する保険料率が引き上げとなるためで、一般の事業であれば、昨年度の 0.3%から 0.35%となり、事業主負担全体では、0.65%となります。
 10 月には、失業等給付や育児休業給付の料率も引き上げられるため、労働者負担分も増加します。これにより、労働者負担分の料率は、0.3%から0.5%となり、事業主負担は、0.85%へと引きあがります。
 10月の労働者負担分の引き上げでは、毎月の給与計算で控除額に変更が出ますので注意が必要です。仮に、月額 300,000円の給与の方の雇用保険料は、変更前が 900 円だったのに対し、引き上げ後は、1,500 円となります。物価の上昇もある中、更なる負担増となりそうです。

2022 年度 4 月 1 日~ 9 月 30 日の保険料率 (厚生労働省リーフレットより)2022年4月から2022年9月の保険料

2022 年度 10 月 1 日~ 2023 年 3 月 31 日の保険料率 (厚生労働省リーフレットより)2022年10月から2023年3月までの保険料率

年度更新の変更点

 事業主は、毎年 4 月 1 日~翌年 3 月 31 日までの 1 年間(保険年度)の労働保険料(労災・雇用)を概算で計算して納め、保険年度末にその年に支払った賃金の総額が確定したところで清算を行います。この手続きを、年度更新といい、毎年 6 月 1 日~ 7 月 10 日の間に行わなければなりません。
 例年であれば、1 保険年度における保険料率は、一定ですが、本年度は、4 月と 10 月の 2 段階で雇用保険料率が引き上げられることとなり、4 月~ 9 月、10 月~翌 3 月に分けて、概算保険料の算出を行う必要があります。
 年度更新の申告書の書き方などは、厚生労働省から既にマニュアルが発表されていますので、早めに確認しておきましょう。

厚生労働省:労働保険年度更新に係るお知らせ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html