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コラム

人手不足の状況と新卒採用に関する調査結果

人手不足の状況と新卒採用に関する調査結果

更新日 : 2022.11.17
報告資料

人手不足に関する調査結果

 日本商工会議所並びに東京商工会議所では、全国47都道府県の中小企業6,007社を対象とし、本年7月19日から8月10日の間に、中小企業の人手不足の状況などについて調査を行い、9月28日にその結果を公表しました。
 コロナの影響を受け、2020年、2021年と人手の過不足はないとする企業が多かったものが、今回の調査では、64.9%の企業が、人手が不足していると回答している。これは、過去最高の人手不足感のあったコロナ前の2019年(66.4%)に近い状況です。
 また、業種別でみると、運輸業では、76.6%が、人手が不足していると回答しており、建設業の77.6%に次ぐ高い数値となっています。
 自動車運転者の有効求人倍率は高く、募集をかけても人が集まらないのが現状でしょう。
 2024年の時間外労働の上限規制を目前に控え、依然として労働時間が長く、時給換算した賃金は、全職種の平均を下回り1割から2割低い水準であると言われいます。

企業の取り組み

 人手不足を感じている企業では、求職者に向けて、魅力ある企業となるためにどのような取組みを行っているのでしょうか?
 同調査で、最も多かった回答が、
「賃上げの実施、募集賃金の引上げ」で57%
「福利厚生の充実」(45.9%)
「人材育成・研修制度の充実」(41.1%)
と続き、「ワークライフバランスの推進」(28.1%)となっています(複数回答あり)。
 多くの企業で、従業員の処遇や待遇を改善する事で応募を集めたいと考えていることがわかります。
 2024年4月から自動車運転者の時間外労働時間の上限規制(年間960時間)が施行されます。法改正にあわせて、自社の乗務員の労働時間の実態の把握をすすめ、労働時間の短縮を図ることが、法令上も求められますが、人手不足を解消するためにも、労働環境の改善は切り離すことができない課題となっているようです。

求人の際の募集ルールの変更

 さて、求人の際の募集ルールについても2022年10月1日施行で職業安定法の改正がありましたのでご紹介しておきます。
 1) 求人等に関する情報の的確な表示の義務付け
   求人企業に対して、①求人情報 ②自社に関する情報の的確な表示、が義務付けられました。
   ・虚偽の表示、誤解を生じさせる表示をしてはならない
   ・求人情報を正確・最新の内容に保たなければならない
今回の改正で、様々な求人媒体がこの的確な表示義務の対象となります。自社のホームページで行う採用サイトなどもその範囲となります。今まで、ハローワークを通じて募集を行う場合は、求人票への記載事項について細かな指導があったと思いますが、その他の媒体での募集では、少し大まかな情報でも求人が可能だったかもしれません。しかし、今後は、労働条件や賃金に関する情報、例えば、固定残業代を採用する場合には、基礎となる労働時間等を明確に明示する必要があるなど、詳細な情報提供を行う事が求められています。
また、募集内容について最新の情報を保たなければならないため、募集の期間などを明確に表示し、募集が終了したり、内容に変更があった場合は、速やかに表示内容を変更したりする必要があります。

 2) 個人情報の取り扱いに関するルールの変更
   ・個人情報の収集に際し、業務の目的の明示しなければならない
   ・業務の目的の達成に必要な範囲内での個人情報の収集・使用・保管をすること
 例えば、自社の採用選考のために使用すると表示して、収集した求人者の情報を、グループ企業の採用の選考にも使用するようなことは、禁止されています。

人手不足を解消するために、今後、様々な採用戦略を講じることが予想されます。適正な募集を行い、情報の管理には十分注意していきましょう。

日本・東京商工会議所:「人手不足の状況および新卒採用・インターンシップの実施状況に関する調査」 調査結果
https://www.jcci.or.jp/i/v2_20220928_chosakekka.pdf

厚生労働省:令和4年職業安定法改正
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172497_00003.html
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000984586.pdf