コロナ禍で食事での密を避けるために、デリバリーや自販機の活用が広がるなど新しいスタイルが定着した。
一方、緊急事態宣言下で高速SAのレストランが休止するなど、トラックドライバーの食生活への影響も大きかった。
「いざという時にどこで食べようか」という悩みは、大部分が山間地で無人のPAが多い中国道を走るドライバーも、また同じだ。
しかし最近、手軽に軽食や温かい弁当が買えて、おなかと心を満たせるPAが少しずつ増えている。
高速SA、PAを運営する西日本高速道路サービス・ホールディングス(大阪市北区)は2021年7月、利便性の向上を目指してセブンイレブン・ジャパンと業務提携した。無人PAでも、軽食や菓子類を売る自動販売機の設置が取り組みの一つで、現在、中国道の3か所で導入されている。
自販機はセブンイレブンのおにぎりやパン、菓子類が24時間いつでも買える。昨年4月に同管内で初めて、下り線の社PA(兵庫県加東市)に設置。次いで同7月に上下線の吉和SA(広島県廿日市市)でも稼働した。
このうち吉和SAは、飲料の自販機のみとなってから4か月でのリニューアル。広島銘菓のもみじ饅頭や電子レンジの設置など、運営者の「おもてなし」の心が窺える。広報担当者によると「商品の補充は近隣店舗や管内SAに店を出すセブンイレブンオーナーが、週に数回行っている」という。
中国道でも特に中国山地を走る区間は、利用者の減少から休憩施設の飲食店や給油所が閉鎖された無人のPAが多い。一方で、沿岸部に近く、大都市を結ぶため渋滞が多発する山陽道を避けようと中国道を走るトラックは少なくないが、夜間など食事の確保が難しい状態をカバーするものとして期待が高まる。
また、コロナ禍で生活様式が変わったことでの、新しい取り組みもある。PA内の売店運営を行う西日本高速道路リテール(同)では、20年4月から管内のPA46店舗で持ち帰り専用の弁当を販売。新型コロナの感染拡大で、接触や密を避ける状況をきっかけに始めたという。
弁当の種類はカレーや唐揚げ、生姜焼きと、がっつり系のメニューが中心。店舗の券売機を利用するほか、到着の1時間前までに電話注文して受け取りも可能。
同社の担当者は「当初からトラックドライバーの利用が非常に多い。コロナ禍に関わらず、サービスは続けていく予定」としている。 なお、同社は20年に地元の第3セクターから引き継ぎ、中国道・江の川PA(広島県三次市)で小規模の売店を運営。店舗内に軽食や地域の名物が買える自販機を設置している。