政府発表
政府は、新型コロナウィルスの感染法上の位置づけを5月8日から「5類感染症」とすることを決定しました。
季節性インフルエンザと同じ位置づけとなります。
新型コロナの感染拡大から3年が経過し、企業にも色々な対応が求められてきましたが、一方で、特例的な
取り扱いもありました。
今回、5類への引き下げによって、どのような影響があるか確認しておきましょう。
労災の取り扱いについて
従業員が新型コロナに感染したような場合、それが、業務に起因したものだと認められる場合は、
労災保険給付の対象となります。また、新型コロナによる症状が持続して、療養や休業が必要と認められる場合にも、
労災保険給付の対象となります。
この労災給付の取り扱いは、いまと同様、新型コロナが5類感染症に位置付けられた後も変わりません。
感染経路の特定が難しいなど、業務上が認められるかどうかといった判断は、監督署により個別の判断となります。
次に、労災保険料への影響についてですが、新型コロナによる労災給付があった場合、
保険料は、どうなるのでしょうか?
労災では、労災保険給付の発生状況に応じて、労災給付のあった翌々年度以降の労災保険料が増減する
「メリット制」という制度があります。今まで新型コロナに関係する給付に関しては、全業種でメリット制の対象外とする
特例となっていたため、労災保険料には影響を与えない特例となっていました。
今後、新型コロナの位置づけが5類感染症に変更となった後は、この特例がなくなります。
そのため、5類感染症に変更となった後に、従業員が業務に起因して新型コロナを発症し給付の対象となった場合は、
メリット制による労災保険料が増加する可能性が出てくることとなります。
雇用保険の取り扱いについて
雇用保険では、新型コロナの影響で事業所が休業したり労働時間が短くなったりして退職した場合、
「特定理由離職者」として、求職者給付の給付制限を受けないといった特例がありました。
この特例も5月7日で廃止となります。
また、新型コロナの影響を受け経営環境が悪化する中で、従業員の雇用維持を目的とした
「雇用調整助成金」や「緊急雇用安定助成金」なども給付要件の緩和や給付率の増加などの特例があり、
経過措置がとられてきましたが、これもこの3月末で全て終了となっています。
行政機関における特例は、新型コロナの「5類感染症」への引き下げにより、平準化していくことになります。
しかしながら、この3年間のあいだに、企業ではマスク生活や除菌対策が日常化し、テレワークの普及やデジタル化
などが進み、就業環境や従業員の考え方にも大きな変化が起こっています。新型コロナが5類に引き下げとなる今、
改めて、企業としてどのような就業環境で対応するのか検討する必要があるかもしれません。
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html