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コラム

Z世代の希望する働き方とは?

Z世代の希望する働き方とは?

更新日 : 2023.06.09
働き方

運輸業界の⼈⼿不⾜

 運輸業界の慢性的な⼈⼿不⾜は今に始まったことではないですが、コロナ時代が終わり経済活動が活発化する中、⼈⼿不⾜関連倒産が増えているという調査結果が、東京商⼯リサーチで発表されました。
 物価上昇に関するニュースは、毎⽇のように報道されています。物価が上昇すれば、賃⾦の上昇が望まれますが、中⼩企業の賃上げは、そう簡単には進まないのが現状です。
 特に運輸業界では、2024年の時間外労働の上限規制や改善基準告⽰の改正に伴い、労働時間の削減が求められていますが、労働時間の削減が収⼊の減少に直結する運送会社では、
賃⾦⽔準を維持することも難しい上、ましてや賃上げとなれば、経営状況の悪化につながるのは免れません。
 賃⾦⽔準が上昇しなければ、当然、⼈材は流出し、新規の採⽤も困難となります。
 仕事はあっても、運ぶ⼈が不⾜しては、運送会社の経営が成り⽴たないのも当然のことです。
 なんとか採⽤を強化し、若⼿ドライバーを集めたいと考える事業者も多いのではないでしょうか?

運送業界の人手不足

若年層の働き⽅

 若年層の働き⽅に関しては、ビッグローブ株式会社が、調査結果を公表しています。
 その調査結果では、若い世代ほど『賃⾦が下がったとしても週休3⽇にしたい』という考えに当てはまる⼈が多くなっています。また、若い⼈に限らず『仕事のやりがいよりも普段の⽣活を重視する』という考えに当てはまるという⼈は、多いという結果が出ています。 『休⽇』が多い⽅が、採⽤には有利になるかもしれませんが、賃⾦の減少と週休3⽇を天秤にかけた結果、週休3⽇に軍配が上がったとはいえ、実際の求⼈採⽤の場⾯では、給与が低くて⼈が集まるとは思えません。
 確かに、このところ、運送会社でも休⽇数を増やすといった動きは増えてきているように感じます。 そうは⾔っても、運輸業界では、年間休⽇数98⽇(1⽇の所定労働時間は7時間30分などの変形労働時間制採⽤の場合)から105⽇へ、105⽇から120⽇へなど、もともと週休2⽇が実現出来なかったところからのスタートのため、他業界に⽐べると、週休3⽇の導⼊にはハードルが⾼く感じるかもしれません。

 例えば、週休3⽇を実現する⽅法としては、変形労働時間制を採⽤して、1⽇の労働時間を⻑くして労働⽇数を減らすなどがあります。
 労働基準法では、1週40時間、1⽇8時間の法定労働時間が定められていますが、変形労働時間制では、1年や1箇⽉などの⼀定期間を平均し1週を40時間以内とする特例制度です。これを導⼊し、1⽇の所定労働時間を10時間、1週の労働⽇数を4⽇とすれば、週休3⽇が実現できます。
 (変形労働時間制の導⼊には、要件があるため確認しましょう)
 2024年の時間外労働の上限規制などを踏まえ労働時間削減に取り組む際に、1⽇の労働時間の削減が難しい場合は、休⽇数を確保して対応するしかない場合もあるため、所定労働⽇数の少ない週休3⽇などの検討も有効かもしれません。

 ※変形労働時間制の導⼊、労働条件の変更の際には、就業規則の改定や労使協定の締結、従業員の同意が必要な場合もあるため、
検討する場合には、労働基準監督署や社会保険労務⼠などの専⾨家への相談のもと実施するようにしましょう。

若年層の働き方

株式会社 東京商⼯リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197656_1527.html
ビッグローブ株式会社 プレスルーム
https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2023/04/230427-1
東京労働局:労働時間・休⽇・休暇関係パンフレット
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/jirei_toukei/pamphlet_leaflet/roudoujikan_kyujitsu_kyuka.html

執筆

山下智美
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特定社会保険労務士

山下智美