燃料費や人件費の高騰、法改正への対応など、運送業ではコストの上昇が止まらない状況が続いています。しかし、「何から手をつければよいのか」「今のやり方を見直す時間がない」と悩む方もいるでしょう。
この記事では、運送業にかかる3つの物流コストの内訳と、コスト上昇の背景について解説します。併せて、実際に取り組める具体的なコストの削減策も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
運送業にかかるコストの内訳と比率
物流コストは「輸送費」「保管費」「包装費・荷役費・物流管理費等」の3つに分類できます。
どの費用が大きな割合を占め、どこに改善の余地があるのかを把握するためにも、まずは物流コストの内訳を見ていきましょう。
輸送費(約56%)
輸送費は、商品を調達・移動・配送する際にかかる費用です。具体的には、仕入れのための「調達輸送費」、工場間で移動するための「社内輸送費」、消費者に届けるための「販売輸送費」の3つに分類できます。

※2024年度調査(有効回答191社)による数値です。
出典:日本ロジスティクスシステム協会「2024 年度 物流コスト調査報告書【概要版】」
輸送費は物流費全体の約56%を占めているため、コスト削減において最も大きな効果が見込めます。
保管費(約20%)
保管費は、商品の在庫を保管するためにかかるコストです。倉庫の賃料をはじめ、光熱費や設備費などが含まれます。

※2024年度調査(有効回答191社)による数値です。
出典:日本ロジスティクスシステム協会「2024 年度 物流コスト調査報告書【概要版】」
物流費全体の約20%を占めており、適切な在庫管理や物流拠点の見直しによってコスト削減が期待できます。
包装費・荷役費・物流管理費等(約24%)
2024年度の物流コスト調査では、輸送費・保管費以外の費用が「その他費用」として分類されており、全体の約24%を占めています。内訳は以下の通りです。

※2024年度調査(有効回答191社)による数値です。
出典:日本ロジスティクスシステム協会「2024 年度 物流コスト調査報告書【概要版】」
これらは、物流オペレーションを円滑に保つ上で欠かせない費用ですが、工程の効率化やIT活用により、コスト削減の余地もあります。
運送コストが上昇している背景
近年は人件費や燃料費の高騰に加え、非効率な運行による負担も重なり、経営を圧迫する要因となっています。
ここでは、こうした運送コスト増加の主な背景について解説します。
人件費の高騰
近年、最低賃金の上昇により、ドライバーの人件費が年々増加しています。厚生労働省の発表によれば、2019年から2024年までの5年間で、最低賃金は約17%上昇しました。

出典:厚生労働省「平成14年度から令和6年度までの地域別最低賃金改定状況」
さらに、2024年からは時間外労働の上限が年間960時間に制限されたことで、労働時間の短縮が求められるようになりました。その結果、企業はより高い賃金で人材を確保しなければならず、人件費の負担はさらに大きくなっています。
人材不足が深刻化する中、人件費を抑えながらも、ドライバーが安心して働き続けられる環境をどう整えるかが、今後の大きな経営課題となるでしょう。
燃料費の高騰
軽油価格の上昇も、人件費と同様に運送会社にとって深刻な負担となっています。以下は、2020年から2025年までの軽油価格の推移です。

※消費税込み価格
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「石油製品価格調査 調査の結果」
2020年から2025年にかけて、軽油価格は約38%上昇しています。燃料費の高止まりが続けば、運送コスト全体の圧迫は避けられません。
運行効率の低下
運行効率の低下も、コスト上昇に直結する深刻な課題のひとつです。背景には、EC需要の増加による小口配送の増加や、顧客ニーズの多様化があり、これにより積載率が下がる傾向にあります。
また、荷待ち時間の長さも効率を下げる要因です。国土交通省の「第17回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」によると、ドライバーの1運行あたりの平均拘束時間11時間46分のうち、約1時間28分が荷待ち時間に費やされています。
さらに、再配達の発生も無駄な走行や拘束時間を生み、運行効率を下げる一因です。国土交通省の調査によれば、2024年4月の再配達率は約10.4%と、依然として10人に1人が再配達を依頼している状況が続いており、完全な解消には至っていません。
このように、運送業では単にコストが上がっているだけでなく、運行効率の低下によって非効率な運用が続いている現状があります。こうした業界全体の課題については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「運送業界の現状・課題とは?今後に備えた具体的な対策を解説」
運送コストを削減するための具体的なアイデア
運送コストの見直しを考える上で、「どこから着手すればよいのか」と迷うこともあるでしょう。
ここでは、日々の業務にも取り入れやすく、効果の見込める具体的なコスト削減アイデアを6つ紹介します。
配車・運行管理のDX化
配車や運行管理のデジタル化は、人手不足や運送コストの課題を同時に改善する手段として注目されています。
たとえば、帳票の管理業務に自動読み取りツールを導入した企業では、これまで手書きで記入・転記していた作業を自動化することで、月間約400時間の業務時間を削減した例もあります。手入力による時間的・精神的な負荷が大きく減ったことで、業務の質が向上し、これまで手をつけられなかった業務にも着手できるようになりました。
具体的な取り組み事例については、以下の記事で詳しく解説していますので、導入のヒントとしてぜひご覧ください。
「運送業のDXとは?中小企業でも取り組める事例と実践のヒント」
配送ルートの最適化
配送ルートを最適化すると、配送時間の短縮や人件費・車両台数の削減につながります。
現在も、一部の企業ではベテランの運行管理者が勘や経験をもとに配送ルートを作成しているのが実情です。しかし、必要な条件を入力するだけで効率的な配送計画を自動で立てられるようになれば、現場の負担を軽減しつつ、業務の標準化も実現できます。
また、ルートの無駄を省けることで走行距離が減り、燃料や人件費のコスト削減にもつながります。
共同配送
自動車輸送統計年報によると、営業用普通車の積載効率は2020年の38.23%からやや改善し、2023年には40.03%となっています。それでも依然として、トラックの積載効率は低い水準にとどまっているのが現状です。
こうした課題を受け、近年注目されているのが「共同配送」です。これは、複数企業の荷物を1台のトラックにまとめて運ぶ配送方法で、積載効率を高め、運送費や配送の手間を抑える効果が期待できます。
実際に食品業界などではすでに共同配送の導入が進んでおり、人手不足への対応と業務効率の両立に役立てられています。ただし、すべての業界や商材に適しているわけではないため、自社と近い業態での事例があるかどうかを事前に確認することが重要です。
物流拠点の集約
物流拠点を集約することで、人件費や土地代などの固定費を抑えられます。反対に、拠点を複数に分散させると、各エリアへの配送効率は向上しますが、人員配置や保管コストが増える可能性があります。
拠点を集約すると納品までのリードタイムが長くなる恐れがあるほか、災害などで物流機能が一時的に停止する可能性もあるため、あらかじめリスクを想定しておくことが大切です。
荷主との条件交渉
運送コストを見直す上で、荷主との交渉も視野に入れる必要があります。燃料費や人件費の高騰が続く中、従来の契約条件のままでは負担が大きくなりがちです。現実的な対策として、無理のない範囲でサービス内容や契約条件を見直すことが求められます。
たとえば、以下の交渉項目が挙げられます。
・ 運賃の適正化
・ 納品条件の緩和
・ 荷持ち時間の短縮
運送会社単独でのコスト削減には限界があるため、荷主と歩み寄りながら、負担の少ない形を一緒に模索していく姿勢が大切です。
業務のアウトソース・外注活用
在庫管理や輸送手配、納品管理などを外部に委託することで、社内の人手や時間をコア業務に集中できるようになります。アウトソーシングには、たとえば物流業務を一括で担う「3PL」や、物流戦略まで踏み込んで支援する「4PL」などの形態があります。

こうした外部リソースを活用すれば、自社の負担を抑えつつ、物流の効率化や品質向上につなげられます。
運送コストの削減を進める上で注意すべき点
運送コストを削減する際は、以下の点に注意が必要です。
・サービスの品質を損なわずに維持できるか
・初期投資に見合う効果が得られるか
・荷主にとっても納得できる内容か
特にDX化などの取り組みは、通常業務の流れを崩さないよう段階的に進めることが大切です。費用対効果を具体的に見積もり、優先度の高い施策から着手するとスムーズです。
また、荷主に協力を求める際は、「契約期間の長期化」や「安定供給の確保」など、荷主側にもメリットが伝わる形で提案すると納得を得やすくなります。
運送コストの削減につながる「"一番星"運送業システム Ver.8」
運送コストを削減するには、日々の業務をどれだけ効率化し、無駄な作業や属人化をなくせるかが重要です。
とはいえ、車両や運転者の情報、実績や請求、給与データが複数のツールや紙で管理されていると、情報の集約や確認に時間がかかり、管理ミスや重複作業によって無駄なコストが発生しがちです。こうした煩雑さを解消し、業務情報を一元管理できるシステムが「一番星 運送業システム Ver.8」です。
「"一番星"運送業システム Ver.8」では、請求処理、運転者台帳、車両管理、実績データ、給与情報などを1つのシステムでまとめて管理できます。
これにより、業務全体の流れが見える化され、情報確認や帳票作成の手間を大幅に削減。結果として、現場・管理部門双方の負担軽減とコストの最適化につながります。
また、「一番星クラウド配車」や「トラック勤怠システム」と連携することで、配車業務や勤怠管理を含めたトータルな業務改善も実現可能です。
以下のような機能により、業務全体の効率化と負担軽減を支援します。
・クラウド対応で事務所以外からも安全にアクセス可能
・テレワークや複数拠点運用にも対応
・請求書発行や複雑な運賃計算も自動化でき属人化や手作業の負担を解消
本システムはカスタマイズ不要で、必要なマスタ情報の登録が完了すれば、すぐに運用を開始できます。
システム導入をご検討中の方には、無料のオンラインデモもご案内しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
運送費は物流コストの中でも特に大きな割合を占めており、見直しによって業務全体の収益改善につながる可能性の高い項目です。しかし、運送コストは年々上昇しており、多くの運送業者が収益の圧迫に悩まされています。
改善したいと思いながらも、「どこから手をつければよいのか分からない」と感じている運行管理者の方も多いのではないでしょうか。そのような場合には、まずは情報の可視化・標準化といったDX化の第一歩から始めるのがおすすめです。
「“一番星”運送業システム Ver.8」は、請求処理や運転者・車両情報、実績データなどを一元的に管理できる業務支援システムです。分散しがちな情報をまとめて可視化することで、自社の改善ポイントも把握しやすくなります。オンラインデモは無料でお申し込みいただけますので、物流コストの見直しを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。