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コラム

運送業のDXとは?中小企業でも取り組める事例と実践のヒント

運送業のDXとは?中小企業でも取り組める事例と実践のヒント

更新日 : 2025.08.29
運送業

運送業では、車両の情報管理やドライバーの労務把握、給与計算など、さまざまなデータを扱う必要があります。しかし、それぞれを別のシステムや手作業で管理していると、ミスが生じやすく、日々の業務に負担を感じてしまう人もいるかもしれません。

こうした状況を根本から見直す手段として注目されているのが、「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。

この記事では、物流DXとは何か、その背景にある業界の課題や期待される効果について解説します。あわせて実際の導入事例も紹介していますので、自社の業務改善のヒントとしてぜひ参考にしてください。

運送業の課題を解決する「物流DX」とは

物流DXとは、デジタル技術を活用して運送業務のムリ・ムダ・ムラをなくし、構造から効率化する取り組みのことです。

単なるシステム導入にとどまらず、業務の標準化や属人化の解消、人手不足への対応といった「現場の課題そのもの」を解決する手段として注目されています。

現在、運送業界では以下のような取り組みが求められています。

・業務のムリ・ムラ・ムダを排除し、労働生産性を向上させる
・AIやIoTを活用して業務プロセスを標準化する
・属人業務を減らし、人手不足やドライバー高齢化に対応する
・積載率向上や再配達削減により、輸送効率の最大化を図る

これらの取り組みによって、効率化だけでなく、ドライバーの確保や利益率の維持といった経営面の課題にも対応できるようになります。

なお、物流DXはコスト削減にも直結します。コスト削減のアイデアや注意点については、下記の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

運送業におけるコストを削減するには?具体的なアイデアや注意点を解説

運送業で物流DXが求められる背景

物流DXが求められる背景には、「担い手の減少」と「業務の限界」の2つがあります。

ドライバーの人手不足と高齢化が進行し、従来の人力中心の業務体制では対応しきれない局面が増えています。加えて、働き方改革の影響や、EC市場の拡大にともなう小口配送の増加によって、現場の負担はさらに大きくなっています。

<物流DXを急ぐ主な要因>
・ドライバー不足と高齢化の加速
・2024年問題(働き方改革による労働時間の上限)への対応
・EC市場の拡大にともなう小口配送の増加
・紙管理や属人対応による業務効率の低下
・老朽化した基幹システムの限界(2025年の崖)

国の試算によるとこのまま対策を講じなければ、2030年度には輸送力が34%不足 する恐れがあるとされています。

このような背景からも、人に依存する仕組みを見直し、DXによって業務構造を再設計することが、今後の持続的な運営には不可欠です。

なお、以下の記事では、より詳しく運送業界の現状と課題について解説していますので、あわせてご参考ください。

運送業界の現状・課題とは?今後に備えた具体的な対策を解説

物流DXによって実現できる業務改善

物流DXを取り入れるうえでは、「どの業務が、どのように変わるのか」を具体的にイメージできることが重要です。

ここでは、配車・ルート・帳票といった身近な業務にフォーカスし、DXによってどのような改善が期待できるのかを詳しく解説します。

配車業務のデジタル化

配車業務をデジタル化することで、業務効率の向上と属人化の解消が可能になります。

従来の配車業務は、ベテラン運行管理者の経験と勘に頼る部分が大きく、業務の引き継ぎや育成に時間がかかっていました。デジタル化することで、以下の情報をもとにシステムが最適な配車計画を自動で立案してくれます。

・ドライバーの労働時間や拘束時間
・車両の稼働状況・点検状況
・配送先の時間帯・受け入れ条件など

配車計画の作成や運行指示、進捗状況の確認もシステム上で一元管理できるため、業務の見える化と管理工数の削減が同時に実現します。

また、経験の浅い運行管理者でも適切な配車業務が行えるようになり、特定の人に依存しない体制づくりにもつながります。

運行ルートの最適化

運行ルートを最適化することで、配送効率の向上と燃料コストの削減が図れます。

トラックの走行中に得られる下記のような情報をもとに、システムが最短ルートを再提案してくれるため、配送遅延の防止とムダな走行の削減につながります。

・走行中のトラックの位置情報
・渋滞や事故、通行止めなどの交通状況

また、土地勘のない新人ドライバーでも、システムが最適なルートをナビゲーションしてくれるため、迷うことなく目的地に到着できます。その結果、ベテランに同行しながらルートを覚えるといった教育が不要になり、即戦力として現場に出やすくなる点も大きなメリットといえます。

帳票管理の自動化・ペーパーレス化

帳票管理を自動化・ペーパーレス化することで、手入力やチェック作業の手間を削減できます。

DX化が進んでいない運送業では、日報や点呼記録簿、請求書など、多くの帳票が紙で運用されており、手書きや転記による事務負担が業務を圧迫しがちです。そこで帳票管理システムを導入すれば、手書き伝票や非定型帳票をAIが自動で読み取り、入力作業を省略できます。

さらに、読み取ったデータをそのまま基幹システムと連携できるため、転記ミスや二重入力を防ぎ、確認作業も効率化されます。結果として、事務作業の時短だけでなく、管理の精度向上にもつながる点が大きなメリットです。

中小の運送業者でも取り組める物流DXの事例

DXと聞くと、大手企業だけの取り組みと思われがちですが、実際には中小の運送業者でも段階的に取り入れられる事例が増えています。

ここでは、配車・ルート見直し・帳票処理といった身近な業務で、中小企業でも実際に活用されているDX事例を紹介します。

配車システムによる属人業務の解消

自動配車システムの導入によって、担当者の経験に頼らない仕組みを整備し、配車業務の効率化と標準化を実現した事例です。

自動配車システムの導入の背景や内容、効果

出典:国土交通省「物流・配送会社のための物流DX導入事例集

中小の運送会社「スーパーレックス」では、地図ソフトと担当者の土地勘に頼った配車により、配送店舗の増減に応じたルート変更に丸2日かかるなど、業務負担や引き継ぎの難しさが課題でした。

そこで導入されたのが、独自AIを搭載した自動配車システムです。積載量や稼働時間などの条件をもとに、最適なルートを瞬時に算出し、コストと時間を削減。配送ノウハウの反映や細かな調整も可能で、経験が浅いスタッフでも正確な配車計画を立てられるようになりました。

結果として、配車作業は数時間に短縮され、業務の標準化と引き継ぎのしやすさが実現しました。業務の属人化を解消し、現場全体の効率向上につながった好事例です。

GPS端末活用で非効率なルートを見直し

車両にGPS端末を取り付けて走行データを可視化することで、ルートの非効率を洗い出し、ダイヤの見直しと残業時間の削減につながった事例です。

車両にGPS端末を付けた背景や内容、効果

出典:国土交通省「物流・配送会社のための物流DX導入事例集

豊田自動織機では、委託先の運送会社から運行実績を入手する必要があり、毎月のダイヤ検証に時間と手間がかかっていました。また、自社でリアルタイムに運行状況を把握できないことが課題でした。

そこで導入したのが、GPS端末を装着するだけで運行データを可視化できる動態管理システムです。位置情報の自動取得や配送計画との実績比較、着荷・待機時間の把握など、豊富な機能で運行管理を効率化しました。

その結果、ダイヤ検証の作業時間は12時間から6時間に短縮。ルートの見直しや作業時間の最適化も進み、残業時間や運行距離の削減につながりました。

AI-OCRによる帳票業務の削減

多様な帳票の読み取りをAIで自動化することで、月間約400時間の業務時間を削減した事例です。

帳票読み取りをAI自動化したことの背景や内容、効果

出典:国土交通省「物流・配送会社のための物流DX導入事例集

山九では、従来の読み取りツールでは手書き文字や帳票ごとの形式の違いに対応できず、多くの書類を人手で入力していました。現場では電子化を求める声も多く、作業の手間や負担が課題となっていました。

そこで導入されたのが、AIを活用したデータ入力業務支援ツールです。手書き文字にも対応でき、点検記録や作業日報、請求書など形式の異なる帳票も自動でデータ化。書類の仕分けも含めて効率化が図られました。

結果として、月間約6,000枚の帳票処理にかかる負担が大幅に軽減され、全体で月約400時間の業務削減を実現。従業員の負担も軽減し、これまで手が回らなかった業務にも取り組める体制が整いました。

運送業で物流DXを定着させるポイント

せっかくDXに取り組んでも、現場でうまく使われなかったり、導入だけで止まってしまったりするケースは少なくありません。物流DXを効果的に定着させるためには、「最初に何を意識するか」「どんな順番で広げていくか」を事前に考えることが重要です。

ここでは、物流DXを成功させるためのポイントについて解説します。

現場と経営層で目的を共有する

物流DXを定着させるうえで重要なことは、経営層と現場の間で目的と意図を正しく共有することです。

多くの現場でDXが形だけに終わる原因として、「なぜそれを導入するのか」が現場に伝わっていないことが考えられます。コスト削減のため、効率化のためといった漠然とした目的では、現場が主体的に使おうという意識を持ちにくくなってしまいます。

経営層に求められるのは、目的を具体的に数字や業務イメージを交えて伝えることです。たとえば、「点検記録や日報の確認を自動化すれば、月間で約400時間の業務削減が見込めます」といった形で伝えることで、現場側も効果をイメージしやすくなります。

一方で、現場からも「使ってみてどうだったか」といった気づきや不安を、経営層に伝えることが大切です。こうした双方向のやり取りがあることで、実際の状況に合った改善が進み、現場でも無理なく使い続けられるようになります。

小さな成功から段階的に広げていく

物流DXは、いきなり全体を変えようとせず、影響の少ない業務から少しずつ取り組むことが重要です。

一度に複数の業務を同時にDX化すると、現場が対応しきれず、かえって混乱や業務停滞を招くリスクがあります。まずは操作やフローが比較的わかりやすく、日常業務への影響が小さい分野から着手することが理想的です。

たとえば、以下の業務から導入をスタートさせるケースが多く見られます。

・帳票管理(点呼記録簿や日報のデジタル化)
・配車計画(自動配車システムによる計画支援)

こうした部分的な導入によって、現場に使い慣れる感覚が定着し始めると、他の業務への展開もしやすくなります。

なお、DXは1〜2ヶ月で完了するような短期施策ではなく、業務改善を積み重ねていく長期戦として取り組むことが前提です。すぐに全てを変えようとするのではなく、動かしやすい部分から一つずつ見直していくことが、結果的に現場に定着しやすい進め方といえます。

人材育成と外部連携を進める

物流DXを継続的に進めるには、ITの知識と現場業務の両方を理解した人材の確保が欠かせません。

しかし、そうした人材を外部から確保するのは現実的に難しくなりつつあります。経済産業省の試算では、2030年には約79万人のIT人材が不足する可能性がある とされており、企業規模を問わず人がいないこと自体が大きな壁になり始めています。

こうした状況を踏まえると、外部の専門家やベンダーに協力を仰ぎつつ、社内でもITに強い人材を育てていく体制が必要です。現場を把握している社員が基本的なITスキルを身につければ、導入後の運用やトラブル対応でも外部任せにならず、現場内で回せる範囲が広がります。

人材を採用するのではなく、育てて確保する視点が、今後のDX推進ではより重要となってくるでしょう。

実績・請求・経営情報を一元化できる「"一番星"運送業システム Ver.8」とは

日々の運送業務では、車両管理、運転者台帳、実績集計、請求処理など、さまざまな情報を扱う必要があり、管理が煩雑になりがちです。とくに中小規模の事業所では、配車はExcel、勤怠は紙、実績は手集計、請求は別ソフトといったように、情報が分断されているケースも少なくありません。

こうした分散管理による業務負担を軽減し、経営に必要な情報を一元化できる業務支援システムとしておすすめなのが、「"一番星"運送業システム Ver.8」です。

本システムを導入することで、請求管理、運転者情報、車両情報、各種実績データなどを一つの画面で集約して管理できるようになります。これにより、経営層は必要な情報を迅速に把握でき、現場では入力作業の手間やミスの削減が可能になります。

また、「一番星クラウド配車」や「トラック勤怠システム」と組み合わせて利用することで、配車業務や労務管理まで含めたトータルな業務効率化にもつなげられます。

・クラウド対応で事務所以外からも安全にアクセス可能
・テレワークや複数拠点運用にも対応
・請求書発行や複雑な運賃計算も自動化でき属人化や手作業の負担を解消

本システムはカスタマイズ不要で、必要なマスタ情報の登録が完了すれば、すぐに運用を開始できます。システム導入をご検討中の方には、無料のオンラインデモもご案内しています。まずはお気軽にお問い合わせください。


まとめ

運送業界では現在、ドライバー不足の深刻化や労働時間規制、燃料費の高騰といった複合的な課題が進行しており、将来的な輸送力不足も現実味を帯びてきています。こうした状況において、物流DXは単なる業務効率化にとどまらず、持続可能な運営体制を構築するうえで欠かせない取り組みとなっています。

業務の見直しやデジタル化を検討している運送事業者の方には、請求・実績・運転者・車両などの情報を一元管理できる「“一番星”運送業システム Ver.8」の導入がおすすめです。 入力ミスや作業の属人化を防ぎながら、現場と経営の両面で業務の見える化と安定化を実現します。

また、「一番星クラウド配車」や「トラック勤怠システム」との連携により、配車業務や労務管理まで含めた包括的な業務改善も可能です。無料のオンラインデモや導入後のサポートも行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。