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コラム

運送業におけるドライバー不足はなぜ?実態や背景、対策についてご紹介

運送業におけるドライバー不足はなぜ?実態や背景、対策についてご紹介

更新日 : 2025.11.26
運送業

ドライバーの採用が進まず、人手不足の課題を抱える運送会社は少なくありません。こうした背景には、人件費の高騰や働き方改革による労働環境の変化が関係しており、従来の採用手法では人材を確保しにくくなっています。

ドライバーが足りない状態が続くと、配送の遅れや社員の疲弊につながり、会社全体の経営にも影響します。日々の運行を支える管理者にとっても、限られた人員で安全と効率を両立するのは大きな負担です。

この記事では、ドライバー不足の現状とその背景、具体的な対策について解説します。安定した運行体制の構築に向けた現場改善のヒントとしてぜひ参考にしてください。

目次

運送業におけるドライバー不足の実態

運送業では、ドライバー不足が深刻な問題となっています。社会インフラを支える物流の現場で、重要な担い手が足りていません。その実態は、統計データにもはっきりと表れています。

厚生労働省の「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」によると、トラック運転者の有効求人倍率は、令和2年から6年にわたり2倍程度で推移しています。これは採用側から見ると、求人1件に対して応募者が0.5人程度しか見込めない状態です。

また、同サイトによると、営業用大型貨物自動車の運転者の平均年齢は50.9歳、普通貨物(大型を除く)では48.6歳とされています。全産業平均(44.1歳)と比べても高く、年齢層の高止まりが続いていることがわかります。若年層の参入が進まず、年齢構成の偏りが一段と進行している状況です。

このままドライバー不足と高齢化が進行すれば、ベテランドライバーの大量退職期を迎えた際に、人手不足がさらに加速するおそれがあります。今後の物流体制を維持するためにも、早急な対策が求められています。

運送業のドライバーが不足している背景

ドライバー不足が長期化している背景には、いくつかの構造的な要因があります。主な要因として、以下の3つが挙げられます。

・長時間労働や低待遇が人材離れを招いている
・上限規制で働ける時間が制限されている
・物流需要の増加に人材が追いついていない

それぞれについて見ていきましょう。

長時間労働や低待遇が人材離れを招いている

トラックドライバーは、依然として長時間労働の傾向が強く、給与水準も他業種と比べて高いとはいえません。

厚生労働省の「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」によると、令和6年ではトラック運転者の年間労働時間はおよそ2,400~2,500時間で、全職種平均(約2,000時間)を約400時間上回っています。一方、年間収入は430~500万円程度で、全職種平均(約530万円)よりやや低水準にとどまっています。

つまり、長い労働時間に見合った待遇が得られにくい構造が続いており、若年層の就職離れや既存ドライバーの離職を招いている可能性が考えられます。結果として、業界全体で人材が定着しにくい状況が続いています。

上限規制で働ける時間が制限されている

ドライバーの健康維持と労働環境の改善を目的として、法制度の見直しが進められています。その代表的な取り組みが「働き方改革関連法」に基づく時間外労働の上限規制です。

令和6年4月からは、ドライバーにも年間960時間(休日労働を除く)の上限が罰則付きで適用されるようになりました。「2024年問題」と呼ばれ、運送業全体に大きな影響を及ぼしています。

この規制は、ドライバーの負担軽減やワークライフバランス向上を図るものです。しかし現実として、長時間労働を前提に業務を回してきた運送会社も多いでしょう。こうした現場にとって、1人あたりの労働力が制限されることは大きな痛手です。

結果として、従来と同じ物流量を運ぶためには、より多くのドライバーが必要になりました。これがドライバーの人材不足に拍車をかける一因となっています。

なお、ドライバーの拘束時間については、以下の記事で詳しく解説しているため、併せて参考にしてください。

※記事は近日公開予定です

物流需要の増加に人材が追いついていない

ドライバーの担い手が減少する一方で、物流量そのものは増え続けています。背景にあるのは、EC(電子商取引)を中心とした消費行動の変化です。

経済産業省の調査によると、BtoC分野のEC市場規模は2014年以降、ほぼ一貫して拡大を続けています。オンライン購入が生活の一部となり、個人宅への小口配送が急増したことで、運送現場の負荷は年々高まっています。

こうした需要増に対応するには、より多くのドライバーを確保する必要があります。しかし、労働環境の厳しさや高齢化の進行により、新たな人材の参入が追いついていません。その結果、需要と供給のギャップが拡大し、ドライバー不足をさらに深刻化させています。

運送業のドライバー不足が引き起こす問題

運送業のドライバー不足は、単に「人がいない」という課題にとどまりません。ここでは、運送業のドライバー不足が引き起こす主な4つの問題について解説します。

配送遅延やサービス品質の低下

ドライバーが慢性的に不足すると、配送能力そのものが低下します。十分な人員を配置できないため、集荷や配達が計画どおりに進みません。結果として「荷物が指定した日時に届かない」といった配送遅延が頻発し、サービス品質の低下を招きます。

運行管理者も、限られた人数で全ての配送依頼に応えようとするため、無理な配送計画を組まざるを得ません。その結果、1人のドライバーが担当する件数やエリアが過大になり、丁寧な荷扱いや顧客対応が難しくなる事態も考えられます。

こうしたサービス品質の低下は、荷主(配送依頼者)や消費者の信頼を損ね、顧客満足度の低下につながるおそれがあります。

人件費・運賃の上昇によるコスト圧迫

ドライバーの人材確保が難しくなると、採用競争が激化します。ドライバーを確保するためには、従来よりも高い賃金や好条件を提示しなくてはなりません。また、求人広告にかかる費用も増加傾向となり、採用コストが上昇します。

こうした人件費の増加は、運送会社の利益を直接圧迫する大きな要因です。このコスト上昇分を、社内努力だけでカバーするのは難しいでしょう。

そのため、荷主に対して運賃の値上げという形で価格転嫁せざるを得ません。荷主側も運賃負担が増大し、そのコストは最終的に商品の販売価格に反映され、消費者の負担増にまで波及していきます。

過重労働による事故・労災リスクの増大

ドライバーが不足すると、その負担は必然的に現役ドライバーへ集中します。1人ひとりが担当する業務量が増え、長時間労働や過密な運行スケジュールが常態化しやすくなります。結果として、事故や労災リスクの増大は避けられません。

十分な休息を取れないまま運転を続ければ、疲労が蓄積し、集中力や判断力の低下を招きます。その結果、居眠り運転や不注意による重大事故のリスクが大幅に高まります。また、荷物の積み下ろし作業を急ぐあまり、無理な姿勢で作業を行うケースも少なくありません。

こうした無理な勤務環境は、腰痛などの持病悪化や転倒事故といった労災につながるおそれがあります。ドライバー本人の健康と安全を損なうだけでなく、労災対応や人員再配置による業務負担の増加など、企業側の経営リスクにも直結します。

なお、ドライバーの健康管理の重要性について詳しくは、以下の記事も参考にしてください。

ドライバーの健康管理の重要性とは?法的義務や推進の取り組みについて解説

離職率の上昇による人材定着の難化

現場の負担が増大し、過重労働が続くと、ドライバーの心身の疲労は限界に達します。その結果、ドライバーがより良い条件や負担の少ない他社・他業種へと流出し、離職率の上昇につながります。

特に、長年の経験を持つベテランドライバーの離職は、運送会社にとって大きな痛手です。安全運行のノウハウや業務知識が失われるだけでなく、残されたドライバーの負担もさらに増すでしょう。

新たな人材を採用しても、教育や研修に十分な時間を割けず、即戦力として育ちにくいのが実情です。人材不足が労働環境を悪化させ、悪化した労働環境がさらに人材を遠ざける、という悪循環が続けば、組織全体の生産性低下にも直結しかねません。

ドライバー不足への具体的な対策

ドライバー不足という課題に対し、運送会社はどのような対策を行うべきでしょうか。ここでは、ドライバー不足への具体的な3つの対策をご紹介します。

雇用環境の見直しと働き方改革の推進

ドライバー不足を根本的に解消するには、採用強化だけでなく、雇用環境そのものの改善が欠かせません。労働時間や給与体系、休日制度などを見直し、長期的に働き続けられる仕組みを整えることが求められます。

合わせて、既存ドライバーの健康管理や安全対策を強化し、安心して働ける環境を維持することも重要です。職場環境の改善は、労働負荷の軽減だけでなく、モチベーションや定着率の向上にもつながります。

ドライバーが心身ともに健康であってこそ、安全で安定した運行が実現します。働きやすい環境づくりが、人材の定着率向上に向けた第一歩です。

採用戦略の多様化

人材確保の難しさを乗り越えるためには、採用の間口を広げる工夫も必要です。女性やシニア、外国人ドライバーなど、幅広い人材層へのアプローチも視野に入れると良いでしょう。

また、未経験者でも安心して働けるよう、教育・研修制度の充実も欠かせません。運送業へ参入するためのハードルを下げることで、より多様な人材を確保しやすくなります。

ほかにも、リファラル採用(社員紹介制度)の導入や、人材紹介会社の活用なども有効な手段です。1人でも多くのドライバーを取り込むためにも、考えられる手段は積極的に検討しましょう。

デジタル化による業務効率化

ドライバーの負担を軽減するためには、業務プロセス自体の見直しも必要です。運送業の現場では、紙の帳票やホワイトボードなどを使ったアナログな業務が少なくありません。こうした業務のデジタル化を通して、配車や配送計画の最適化と業務効率化を図りましょう。

特に、運行管理者とドライバーの情報共有は、事務作業の負担を生みやすい部分です。電話やメールでのやり取りが多いと、情報の伝達ミスや確認漏れが起こりやすく、ドライバーの負担も増します。

その点、インターネットを介して利用できるクラウド型の配車システムを導入すれば、状況把握や連絡の手間を減らせます。運行管理者は配送状況をひと目で確認でき、業務が円滑になります。こうしたデジタル技術を積極的に取り入れ、ドライバーと運行管理者がともに働きやすい環境を整えましょう。

限られた人員でも運行を最適化するための「一番星クラウド配車」とは

人材不足が深刻化する運送業には、限られた人員で効率よく運行を管理する仕組みが欠かせません。その課題を解決するのが「一番星クラウド配車」です。クラウド上で配車情報を共有し、誰でも直感的に操作できる仕組みを備えた配車システムです。

紙の配車表やExcelによる属人化した管理から脱却し、どの拠点・担当者でもリアルタイムに同じ情報を確認できます。配車の効率化を通して現場全体の生産性を高めながら、ドライバーや運行管理者の負担軽減にもつながります。

一番星クラウド配車の主な特長は以下のとおりです。

・ドラッグ&ドロップによる直感的な配車操作
・視認性の高い配車表でのスケジュール管理
・点呼・休憩・休息タイミングの一括確認
・グループ単位での配車管理や色分け表示
・「一番星」運送業システムVer.8とのシームレス連携

人員が限られていても無理のない配車が実現し、属人化のない安定した業務運用が可能になります。一番星クラウド配車は月額12,000円から利用可能です。配車ミスの削減や作業効率の向上を目指す第一歩として、導入を検討してみてください。


まとめ

ドライバー不足が深刻化する運送業にとって、人材確保は喫緊の課題です。雇用環境の見直しや採用戦略の多様化、デジタル化による業務効率化など、さまざまな対策を講じることが求められます。

特に、アナログ管理に依存したままでは、ドライバーにとっても運行管理者にとっても負担が大きくなります。デジタル化による業務効率化を図るべく、クラウド型配車システムなどの導入を検討すると良いでしょう。

なかでも、「一番星クラウド配車」は、配車業務をクラウド上で共有・統合することで、管理の手間を減らし、現場全体の生産性を高めます。属人化を防ぎ、少人数でも安定した運行を支える仕組みづくりを実現できます。ドライバーが安心して働ける環境づくりと運送会社の成長のために、ぜひ導入を検討してみてください。