運送業において、日々の安全運行を守るために欠かせない書類の1つが「運行指示書」です。運行指示書はドライバーの過労や重大事故を防ぐ役割を持ち、特定の運行においては作成が義務付けられています。
記載項目やドライバーへの携行、運行途中で変更が生じた場合の対応、保存期間など、運用ルールも細かく定められています。監査の場で不備を指摘されないためにも、法令に沿った作成手順や正しい管理方法を押さえておくことが大切です。
この記事では、運行指示書の基本的な役割から記載項目、作成・運用のルールまで分かりやすく解説します。テンプレートを活用して作成の手間を減らす方法や、帳票管理を効率化するポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
運行指示書とは
運行指示書とは、乗務前・乗務後のいずれも対面で点呼を行えない運行において、ドライバーへ安全な運行に必要な指示を伝えるための書類です。まずは、運行指示書が必要となる理由と作成義務が生じるケースを確認しましょう。
貨物自動車運送事業で義務付けられた法定帳票
運行指示書は、貨物自動車運送事業輸送安全規則にもとづいて作成が義務付けられている法定帳票です。運行の開始・終了地点や日時、経路、休憩地点などを記載し、ドライバーへ安全な運行に必要な指示を行います。
出典:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則(第九条の三)」
長期間の運行では、営業所を離れている時間が長くなるため、運行管理者が直接指示を出すことは難しくなります。そのため、あらかじめ必要な情報を運行指示書にまとめ、ドライバーが携行することで安全な運行を実現するのです。
作成義務が生じるケース
運行指示書は常に作成が必要なわけではありません。運行指示書の作成義務が生じるのは、「乗務前・乗務後のいずれも対面で点呼を行えない運行を含む場合」です。
代表的なケースとして、2泊3日以上の長距離運行が挙げられます。こうした運行では、乗務途中に少なくとも1回の中間点呼を行わなければなりません。あわせて運行指示書を作成してドライバーに携行させ、営業所に写しを備え置く必要があります。
一方、乗務前または乗務後のいずれかで対面点呼を行える運行では、中間点呼も運行指示書の作成も不要です。自社の実際の運行形態に合わせて、必要な対応を正確に把握しておきましょう。
出典:国土交通省「中間点呼及び運行指示書について」
運行指示書に記載すべき項目
運行指示書の作成にあたっては、法令で定められた必須項目を漏れなく記載しなければなりません。ここでは、運行指示書に記載すべき7つの項目について解説します。
1.運行の開始・終了地点と日時
2.乗務員の氏名
3.運行経路と主な経過地の発着日時
4.注意を要する箇所の位置
5.休憩地点と休憩時間
6.運転・業務の交替地点
7.その他の安全確保に必要な事項
1.運行の開始・終了地点と日時
運行を開始する地点と終了する地点、それぞれの予定日時を記載します。営業所や車庫など、実際に運行がスタートし、最終的に帰着する場所を正確に記載しましょう。
日時についても単に日付だけを書くのではなく、出発予定時刻と終了予定時刻まで明記する必要があります。これらはドライバーの拘束時間を算出する基準にもなるため、実態に即した計画を記載することが大切です。
2. 乗務員の氏名
該当する運行業務を担当するドライバーの氏名を記載します。誰に対する運行指示なのかを客観的に証明するため、苗字だけでなくフルネームで正確に記入してください。
複数名のドライバーが乗務するツーマン運行などでは、同乗する全員の氏名を記載しなければなりません。交替運転者がいる場合も、誰が運行に携わるのかひと目で分かるように管理しましょう。
3. 運行経路と主な経過地の発着日時
運行する具体的なルートと、主な経過地における発着予定日時を記載します。高速道路を利用する場合は通過するインターチェンジ名などを記載し、運行経路を正確に把握できるようにしましょう。
また、積み込みや荷降ろしを行う重要な経過地での作業予定時刻も明確にします。渋滞予測なども考慮し、ドライバーが焦らず安全に運行できるスケジュールを組むことが重要です。
4. 注意を要する箇所の位置
運行中、特に注意が必要となる場所があれば、その位置を記載しましょう。たとえば、過去に事故が多発している交差点や見通しの悪いカーブ、幅員の狭い道路などが該当します。
道路工事区間や、車両の高さ・重量などに制限がある場所についても漏れなく記載しましょう。日頃からヒヤリハットなどの情報を収集し、危険箇所を事前に共有しておくことで、事故を防ぎやすくなります。
5. 休憩地点と休憩時間
運行中に休憩を取る場合は、休憩地点と休憩時間を記載します。長距離運行では、サービスエリアやパーキングエリアなど、具体的な休憩場所をあらかじめ計画しておくことが求められます。
休憩を取る予定時刻や時間も明確にし、改善基準告示に沿った無理のない計画を立てましょう。指示書を作成する際は、休憩だけでなく適切な休息期間が確保されているかも確認してください。
6. 運転・業務の交替地点
複数名のドライバーが運転や業務を交替する場合は、その交替地点を記載します。サービスエリアやフェリー乗り場など、実際にハンドルを交替する場所を明確に指示しましょう。
交替する地点やタイミングが不明確だと、改善基準告示で定められた「連続運転時間は4時間以内」といった上限基準を超過する原因になりかねません。法令遵守を徹底するためにも、誰がどの区間で運転を担当するのか、事前に確実な計画を立てておくことが大切です。
7. その他の安全確保に必要な事項
上記以外にも、運行の安全を確保するために必要な事項があれば記載します。たとえば、降雪や台風などの悪天候が予想される場合のチェーン装着指示や、積載物の固縛に関する注意などが考えられます。
荷主からの特記事項や使用する車両固有のクセなど、安全な運行に必要な情報があれば積極的に追記しましょう。運行ごとの状況に応じて、ドライバーへ伝えるべき事項を整理することが大切です。
運行指示書の作成や運用に関する基本ルール
運行指示書は、正しく作成したうえで適切に運用・保存しなければなりません。ここでは貨物自動車運送事業輸送安全規則の内容を踏まえ、押さえておくべき3つの基本ルールを解説します。
出典:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則(第九条の三)」
原本をドライバーに携行させ、写しを営業所で管理する
作成した運行指示書(原本)は、ドライバーに必ず携行させて運行させます。あわせて、営業所側にはその写し(控え)を備え置いておかなければなりません。
営業所では、運行指示書の写しを適切に管理し、運行管理者が運行内容や指示内容を確認できる状態にしておきましょう。巡回指導や監査などに備えるためにも、紛失しないよう確実に管理することが大切です。
運行途中で変更が生じた場合は内容を記載して指示する
運行途中で運行経路や発着日時に変更が生じた場合は、営業所にある写しへ変更内容を記載し、電話などでドライバーへ適切に指示することが求められます。
指示を受けたドライバー側も、携行している運行指示書に変更内容を漏れなく追記しなければなりません。口頭で変更を伝えるだけではなく、双方の書面に変更内容を記録しておく必要があります。
なお、ルート変更により危険箇所や休憩地点などに変更が生じた場合も、あわせて内容を追記して安全な運行につなげましょう。
運行終了から1年間保存する
「運行指示書の原本」と「営業所の写し」は、運行が終了した日から1年間保存する義務があります。ドライバーが携行していた運行指示書も保存対象となるため、運行終了後は回収し、営業所で写しとあわせて保管しましょう。
紙で管理する場合は、運行日やドライバー名ごとにファイリングしておくと、必要な書類を確認しやすくなります。電子データとして保存する場合も、必要な書類を検索・確認できる状態で1年間保管できる運用体制を整えましょう。
運行指示書を効率よく運用するためのポイント
運行指示書は法令に沿って作成・管理するだけでなく、日々の業務で無理なく運用できる仕組みを整えることも大切です。ここでは、運行指示書を効率よく運用するためのポイントを2つ紹介します。
テンプレートを活用して抜け漏れを防ぐ
運行指示書を毎回手作業でゼロから作成していると、記載項目の抜け漏れや記入ミスが起こりやすくなります。そこで、法定の7項目を網羅したExcelなどのテンプレートを活用するのが効果的です。
あらかじめフォーマットが整っているため、必要な情報を入力するだけで済み、毎回の作成にかかる手間を抑えられます。自社の運行ルートや業務形態に合わせて項目を調整し、使いやすい形にカスタマイズしておくとよいでしょう。
運行指示書の作成に活用できる無料テンプレートをお探しの方は、以下の資料をダウンロードして業務にお役立てください。
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配車計画や日報作成と連動させ転記の手間をなくす
運行指示書には、運行経路や日時、担当ドライバーなど、配車計画や運転日報と共通する情報が多く含まれます。これらを別々のシートや紙で管理していると、同じ内容を何度も入力する二度手間が生じかねません。
そこで有効なのが、運行に関する情報を一元管理できる仕組みの構築です。一度入力したデータを他の帳票へスムーズに連動できれば、日々の転記作業や入力ミスの大幅な削減につながるでしょう。
紙やExcelによる帳票作成に限界を感じている場合は、業務システムを活用して情報管理のやり方そのものを見直すアプローチもおすすめです。
運送業務を効率化するなら「“一番星”運送業システム Ver.8」がおすすめ
日々の受注や運転日報、請求などの情報を別々に管理していると、同じ内容の入力や確認に手間がかかります。各種帳票を作成する負担を減らすためには、情報を一元化する仕組みが欠かせません。
「“一番星”運送業システム Ver.8」は、運送業に必要な業務を幅広く支援する基幹システムです。請求管理をはじめ、車輌管理や乗務員管理、給与管理などを連携させ、社内の業務効率化を後押しします。主な特長は以下のとおりです。
・受注や運転日報の入力情報を各種管理や帳票作成に活用し、二度手間を削減
・Excelで作成した配車データを受注データとして取り込み、再入力の負担を軽減
・車輌管理や乗務員管理、請求管理などの情報を一元化し、業務効率化を支援
・車輌別やドライバー別の稼働実績・収支を確認でき、経営状況の把握にも活用
運行指示書などの法定帳票を適切に管理するためには、正確なデータにもとづいた運用が求められます。日々の入力から請求書の発行、収支の確認までを一気通貫で処理できれば、事務作業の負担軽減と経営の見える化を両立できるでしょう。
無料でオンラインデモも実施しています。実際の画面や運用イメージを確認したうえで導入を検討したい方は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
運行指示書は、乗務前後の対面点呼ができない運行などで作成が義務付けられている法定帳票です。運行の開始・終了地点や休憩場所など、7つの必須項目を漏れなく記載しなければなりません。
作成した指示書はドライバーに携行させるとともに、営業所でも写しを1年間保存するルールがあります。記載漏れや管理の手間を防ぐためには、テンプレートの活用やシステムによる情報の一元化が役立ちます。
「“一番星”運送業システム Ver.8」を導入すれば、日常的な帳票作成や各種管理業務を効率化できます。運送業務の負担軽減と適切な法令遵守を目指す方は、ぜひシステムの活用を検討してみてはいかがでしょうか。