運送業界では安全運行や業務効率化のために、デジタコ(デジタルタコグラフ)の導入が進んでいます。これからデジタコを導入し、初めて操作するというドライバーや運行管理者の方も多いでしょう。
しかし、機械の操作に慣れていないと「使いこなせるか不安」「間違った操作をしてしまわないか不安」と心配になるものです。
この記事では、デジタコの基本的な使い方や操作の流れを、ドライバー向けと運行管理者向けに分けて紹介します。併せてデジタコ選びのポイントや、おすすめ製品も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
デジタコを正しく使うために押さえておくべきこと
デジタコの使用にあたっては、その機能や役割、正しい使い方を事前に把握しておくことが欠かせません。
デジタコは、車両の運行データを記録・保存するための機器です。従来はSDカードなどにより機器内部にデータを保持する方式が一般的でしたが、昨今ではクラウドサーバーにデータを送信する方式が主流となっています。
特に、瞬間速度・走行距離・走行時間の3つは「法定3要素」と呼ばれます。つまり、デジタコを含む運行記録計は最低限、この3要素を正確に記録できなければなりません。もし操作や設定を誤り、必要な運行データが記録・保存されなければ、法令違反と見なされる恐れがあります。正しい操作方法を理解することはドライバー自身、ひいては会社を守ることにもつながるのです。
なお、具体的なボタン配置や画面表示はメーカーや機種によって異なります。必ず使用しているデジタコの取扱説明書やマニュアルを確認したうえで操作しましょう。そもそもデジタコとは何かについて詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
「デジタコとは?3つの種類と導入のメリット、デメリットをわかりやすく解説」
【ドライバー向け】デジタコの基本的な使い方
ここでは、ドライバーが日々の運行業務でデジタコを扱う際の基本的な使い方について解説します。近年の主流である「通信機能を持ったクラウド型デジタコ」を例に挙げて見ていきましょう。
①出庫前の準備操作
②運転中の操作
③帰庫後の終了操作
※具体的な操作は製品によって異なります。
①出庫前の準備操作
まずは、出庫前の準備操作を押さえておきましょう。
トラックに乗車してエンジンをかけた後、最初にデジタコを起動させます。そして、誰が運転するのかを記録するために、ログイン・本人認証が必要です。近年では、免許証などで簡単に本人認証できる製品が増えています。
出庫の手続きは、基本的に「出庫」ボタンを押すのみです。出庫の手続きを行うことで、デジタコが運行データの記録を開始します。
なお、従来のSD方式のデジタコでは、事前にSDカードを本体に差し込む必要がありました。しかし、クラウド型のデジタコではこの事前操作は必要なく、素早く運行業務に移行できます。
②運転中の操作
走行中は、デジタコが自動的に速度や時間を記録し続けます。基本的に運転中の細かい操作は不要ですが、状況に応じてステータス(状態)の切り替えが必要です。業務状況に応じたボタンを正しく押し、ステータスを切り替えましょう。
代表的なボタンを下表にまとめました。
| ボタン | 押すタイミング |
|---|
| 一般/高速 | 高速道路へ進入・退出する時 |
| 待機 | 作業も休憩もしていない停車時 |
| 荷積み | 荷積み作業(荷物の積み込み)の開始時 |
| 荷卸し | 荷卸し作業(荷物の降ろし)の開始時 |
| 休憩 | 飲食・トイレ・仮眠など、業務から離れる時 |
※具体的なボタンの構成や名称は、製品によって変わる場合があります。
ステータスを切り替えないと、正確に運行データが記録されず、長時間労働や休憩不足と判定されてしまう恐れがあります。現在のステータスは、デジタコの画面上に表示されています。何か作業をする際は、必ず現在のステータスを確認し、切り替えが必要な場合は忘れずに適切なボタンを押しましょう。
③帰庫後の終了操作
一日の業務を終えて事業所に戻った際には、デジタコの終了操作を行います。運転中のステータス切り替えと同じように、「帰庫」や「業務終了」といったボタンを押せば完了です。当日の運行データが確定し、記録されます。
クラウド型のデジタコであれば、帰庫操作と同時に運行データが自動送信され、日報も自動で作成されます。機種によっては帰庫と同時に日報が自動印刷されるため、従来のようにSDカードを抜いて営業所のパソコンに挿すといった手間はかかりません。
【運行管理者向け】デジタコの基本的な使い方
続いて、運行管理者が日々の管理業務でデジタコを扱う際の基本的な使い方について解説します。運行管理者は、ドライバーのようにデジタコ本体を日常的に操作するわけではありません。しかし、以下のような管理者側の運用方法は知っておく必要があります。
①設定
②データ取得・確認
③メンテナンス
①設定
デジタコを新たに導入した際や、ドライバー・車両が増減した際には、正確にデータを記録するための設定が必要です。具体的には、主に以下の項目を管理システム(専用ソフトやWeb管理画面)から登録します。
・会社・営業所情報:会社ID、営業所コード、所属営業所など
・運行管理者情報:管理者のID、氏名、権限(閲覧のみ・編集可能など)
・車両情報:車両ID、ナンバープレート、車名、シリアル番号など
・ドライバー情報:ドライバーID、氏名、所属営業所、運行エリアなど
・運行判定基準:速度超過の判定ライン、連続運転時間の警告タイミングなど
従来のデジタコでは、パソコンで設定データを作成し、その内容を各車両のSDカードへ書き込む必要がありました。しかし、クラウド型のデジタコであれば、営業所のパソコンから設定データを遠隔で一括送信できます。
②データ取得・確認
運行管理者が運行状況を把握するためには、日々の運行データの取得・確認が重要です。
従来のデジタコではSDカードを取り出し、記録された運行データを読み込む必要がありました。しかしクラウド型のデジタコでは、リアルタイムに運行データが送信されるため、管理システムにアクセスするだけでデータを閲覧できます。
管理システムでは、その日の走行ルート、速度グラフ、停車・休憩時間、作業時間などが自動反映された日報を閲覧できます。これらの記録をもとに、運転傾向の分析や法令遵守状況の確認を行い、必要に応じてドライバーへの指導を行いましょう。
③メンテナンス
デジタコを安全に運用するためには、定期的なメンテナンスも大切です。デジタコを長く使い続けていると、部品の劣化や通信不良などが発生するケースも考えられます。デジタコの状態は定期的に確認し、異常動作があれば、大きな故障につながる前に点検や修理の手続きを行いましょう。
また、デジタコは内部のファームウェア(機器内に組み込まれたソフトウェア)によって動作しています。法規制への対応、不具合の修正などで、ファームウェアの更新が必要となる場合は、迅速に対応を行いましょう。なお、クラウド型のデジタコであれば、遠隔でファームウェアを送信・更新できる製品も増えています。
使いやすいデジタコを選ぶための比較ポイント
デジタコには多くの機種があり、どれを選べば良いか迷うこともあります。現場でスムーズに運用するためには、以下のポイントを比較して選ぶと良いでしょう。
・操作性は良いか
・ドラレコやカーナビと連携できるか
・安全運転を支援する仕組みがあるか
操作性は良いか
ドライバーが日常的に触れるデジタコは、操作のしやすさが重要です。操作画面の仕様や操作手順など、操作性について確認しましょう。「ボタンが押しにくい」「操作手順が複雑」といった問題があると、日々の操作がストレスにつながります。
デジタコの操作方式には「タッチパネル式」と「ボタン式」の2種類があります。近年では、画面に大きなアイコンが表示され、直感的に操作できるタッチパネル式が人気です。一方、押した感触が明確なボタン式も依然として根強い人気があります。
どの方式を選ぶとしても、本格運用へ進む前にトライアルやデモなどで、実際に操作性を確かめると良いでしょう。
ドラレコやカーナビと連携できるか
実際の運用を考えると、ドライブレコーダーやカーナビと連携できるデジタコが便利です。たとえば、ドライブレコーダーで記録した映像をデジタコ経由で送信できれば、運行管理者による事故時の状況把握や安全指導がスムーズに行えます。
近年では、ドライブレコーダーやカーナビの機能が一体になったデジタコも増えています。ドライブレコーダーやカーナビといった機器を別々に取り付けると、運転席周りが配線で煩雑になったり、視界を遮ったりする恐れがあります。一体型なら車内がすっきりするうえ、機器ごとに設定する手間も減らせます。
安全運転を支援する仕組みがあるか
単に運行データを記録できるだけでなく、安全運転を支援する機能があるかも選定のポイントです。
たとえば近年では、AI(人工知能)の画像認識技術を活用し、車線逸脱や車間距離不足を検知して警告する機能を持つデジタコも登場しています。こうした仕組みを持つデジタコを選べば、リアルタイムに危険運転を防止することが可能です。
安全支援機能を重視して選べば、日々の運転をより安全にサポートできるでしょう。
デジタコ導入なら最新モデル「DTS-G1D」がおすすめ
デジタコは多くのメーカーから販売されており、どの機種を選ぶべきか迷っている方もいるでしょう。そうした方におすすめなのが、最新モデル「DTS-G1D」です。
DTS-G1Dは、デジタコ・ドラレコ・カーナビの機能を一台に集約したハイエンドモデルです。ドライバーの使いやすさと、管理者の業務効率化を両立するよう設計されています。DTS-G1Dの主な特長は以下のとおりです。
・デジタコ・ドラレコ・ナビを1台に集約し、車内配線をすっきり
・LTE通信によるリアルタイム管理で、SDカード回収の手間をゼロに
・7インチの大型タッチパネルで、スマホのように直感的な操作が可能
・独自の画像認識技術で車線逸脱や歩行者を検知し、安全運転を強力に支援
DTS-G1Dを導入すれば、日報作成の自動化による業務効率化はもちろん、高度な安全支援機能により事故リスクの低減も期待できます。
無料のオンラインデモも実施していますので、実際の操作感や画面の見やすさを確認したい方は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
デジタコは、法令遵守と安全運行を守るために欠かせない機器です。近年のクラウド型デジタコであれば、ドライバーは簡単なタッチ操作だけで済み、運行管理者はリアルタイムに正確なデータを取得できます。
デジタコを安全に運用するためには、ドライバー・運行管理者の双方が正しい使い方を把握することが大切です。デジタコを新しく導入する際には、今回の内容をぜひ参考にしてください。
「ドライバーにとって操作しやすい機種を選びたい」「日報作成を自動化したい」という方は、大画面で操作性に優れた「DTS-G1D」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。