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コラム

デジタコとは?3つの種類と導入のメリット、デメリットをわかりやすく解説

デジタコとは?3つの種類と導入のメリット、デメリットをわかりやすく解説

更新日 : 2025.07.28
デジタコ

デジタコは、運送業界での業務効率や安全管理、法令対応を支えるツールとして、今や現場に欠かせないものとなりつつあります。

しかし、「アナタコと何が違うのか」「導入にどのようなメリットがあるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。国土交通省がデジタコの普及を段階的に進める中、運行管理車としては基礎知識を早めに押さえておきたいところです。

この記事では、デジタコの基本やアナタコ・ドラレコとの違い、3つのタイプの特徴、導入のメリットや注意点をわかりやすく解説します。社内で導入を検討する際の情報としても、ぜひ参考にしてください。

デジタコとは

デジタコとは「デジタルタコグラフ」の略称で、車両に取り付けるデジタル式の運行記録計のことを指します。主に瞬間速度、走行距離、走行時間といった情報を自動で記録し、SDカードやクラウドサーバーなどに保存する仕組みです。

デジタコは単なる走行履歴の記録にとどまらず、例えば以下のように運行管理の幅広い場面で活用されています。

・ドライバーの労働時間や休憩時間の管理
・運転の癖や速度超過など、安全運転の評価
・ヒヤリハットの分析による事故防止対策
・アイドリング時間の把握による燃費の改善

ここでは、デジタコと混同されやすい「アナタコ」や「ドラレコ」との違いについても見ていきましょう。

アナタコとの違い

アナタコ(アナログ式タコグラフ)との最大の違いは、記録可能なデータの範囲と記録方法にあります。以下にアナタコとデジタコの主な違いをまとめました。

アナタコとデジタコの主な違い

アナタコは瞬間速度・走行距離・走行時間の法定3要素のみをチャート紙に針で記録することが一般的ですが、デジタコはこれに加えてGPS情報やエンジン回転数、休憩時間などの詳細データをデジタル形式で記録します。

ドラレコとの違い

ドラレコ(ドライブレコーダー)は映像・音声の記録に特化しており、事故発生時の証拠確保が主な目的です。対してデジタコは、運行データに特化して安全運転評価や労務管理を行うための装置です。この役割の違いにより、両者は相互補完の関係にあります。

ドラレコとデジタコの主な違い

近年はデジタコとドラレコ機能を統合した製品もあり、一元管理が進んでいます。

トラックにデジタコの装着は義務?

2025年6月時点では、トラックへのデジタコ装着は義務化されていません。
ただし、以下に該当する車両については、デジタコ・アナタコ問わず「タコグラフ(運行記録計)」による記録及び1年間の保存が義務付けられています。

一 車両総重量が七トン以上又は最大積載量が四トン以上の普通自動車である事業用自動車
二 前号の事業用自動車に該当する被けん引自動車をけん引するけん引自動車である事業用自動車
三 前二号に掲げる事業用自動車のほか、特別積合せ貨物運送に係る運行系統に配置する事業用自動車

出典:e-Gov「貨物自動車運送事業輸送安全規則」

「デジタコにまだ切り替える必要はない」と考える方もいるかもしれませんが、バス分野などではすでに義務化が進んでおり、今後トラック分野にも同様の流れが及ぶ可能性があります。以下は現在進行中の取り組みです。

バス分野で現在進行中の取り組み

こうした動きから見ても、デジタコの導入は「いずれ必要になるもの」として準備を進めておくのが安心です。以下の記事では、今後の規制強化や罰則の内容について詳しく解説しているため、あわせてご参考ください。
デジタコの義務化はいつから?対象車両と罰則について解説

デジタコの種類

デジタコには、搭載されている機能の違いによって「単機能型」「標準型」「多機能型」などの種類があります。ここでは、それぞれの特徴と、どのような現場で活用されているのかを見ていきましょう。

単機能型デジタコ

単機能型は、瞬間速度・走行距離・走行時間の「法定3要素」のみを記録できる、最もシンプルなモデルです。搭載されている機能が限定的ですが、その分本体価格は他の種類に比べて低めに設定されています。

主に、法令対応の最低ラインを満たすことを優先する現場で使われており、「とりあえず罰則を避けたい」「まずは必要最小限から始めたい」という場合に適したタイプです。

標準型デジタコ

標準型は法定3要素に加えて、以下のような情報も記録できるバランス型のモデルです。

<機能例>
・エンジン回転数
・アイドリング時間
・急加速・急ブレーキの回数 など

これらの情報があると、「燃費のムダがどこで起きているか」「運転に荒さがないか」など、運行の中身を数字で見える化できます。

また、帳票作成システムやドラレコと連携できるモデルも多く、日報の自動作成や記録保存の効率化にもつながります。「実務に必要な情報は欲しいけれど、そこまで複雑な機能はいらない」といった事業者にとって、扱いやすいタイプです。

多機能型デジタコ

多機能型デジタコは、標準型の機能に加えて、さまざまな外部機器と連携できるハイエンドモデルです。例えば以下のような連携が可能です。

多機能型デジタコと連携可能な外部機器の例

このように、多機能型は運行・労務・安全・整備といった各領域の管理情報を一体的に扱える点が特徴です。

多機能型は、管理対象が多い中〜大規模の運送事業者や、安全体制の強化に具体的に取り組んでいる現場、あるいは過去に事故や労務上のトラブルを経験し、全体的な見直しを図っている事業者に向いています。

ただし機能が豊富な分、初期費用や運用コストは高くなるため、コストと効果のバランスを十分に検討して選ぶ必要があります。

デジタコ導入のメリット

デジタコを導入する際には、機能やコストだけでなく、実際にどのような効果が得られるのかを把握しておくことが重要です。ここでは、運行管理・帳票作成・労務管理といった観点から、デジタコ導入の具体的なメリットを解説します。

手軽に多様な運行データを取得できる

デジタコはアナタコと異なり、法定3要素(瞬間速度・走行距離・走行時間)だけでなく、製品によっては以下のような運行データを自動で取得できます。

<取得例>
・加減速の履歴(急発進・急加速など)
・速度超過やエンジン回転数の異常値
・ステータス(業務種別)変更の記録
・GPSによる位置情報 など

このように、運転傾向の把握や異常運転の早期発見が可能となるため、安全管理の精度向上にもつながります。

取得したデータはSDカードやクラウドサーバーなどに保存され、パソコンで確認できます。さらに、グラフや一覧表の形式で視覚化されるため、専門的な知識がなくても運行状況を把握しやすい点が特徴です。

運転日報作成の手間が省ける

デジタコの中には、運転日報の作成が自動化される製品があるため、手書きによる補足や集計作業の手間が大幅に減ります。

運行中の走行距離や業務区分(荷積み・荷卸し・待機・休憩など)も含めてデータが自動で記録されるため、記載漏れやミスのリスクが抑えられ、帳票の精度も安定します。形式も統一されており、確認や保管もスムーズです。

とくに複数の車両や乗務員を管理する現場では、こうした効率化によって日々の作業負担が軽くなり、運行管理や安全対策に専念しやすくなります。

労働時間をリアルタイムに記録・管理できる

デジタコの製品によっては、「運転」「荷積み・荷卸し」「休憩」「待機」など、業務の種類をリアルタイムで選択・記録できます。この記録をもとに乗務時間を正確に把握できるため、長時間労働や休憩不足といった改善基準告示違反の兆候にもいち早く気づけます。

さらに、記録がデジタル化されることで、後からの集計・チェックもスムーズになり、監査や指導への対応もしやすくなります。

安全運行の管理や法令遵守が求められる中、日々の業務で労働実態を適切に記録することは極めて重要です。その手段として、デジタコは実務面でも信頼性の高い管理手法といえるでしょう。

デジタコ導入のデメリット

デジタコの導入によって業務の効率化が進む一方で、運送業者やドライバーにとって無視できない懸念点もあります。ここでは、導入前に理解しておきたい代表的なデメリットと対策を解説します。

導入の初期費用が高い

デジタコ導入において最も多く挙げられる課題が初期費用です。
アナタコは数万円程度で導入可能な一方で、デジタコは高いものだと30万円程 の製品あります。必要な機能や対応車両台数に応じて選ぶ製品が異なるため、費用には大きな幅があります。デジタコを導入する際は、必要な機能を見極め、用途に合った製品を選ぶことが重要です。

なお、コスト負担を抑える手段としては、国土交通省や自治体が提供している補助金制度の活用が有効です。申請には条件がありますが、要件を満たせば実際の負担を軽減できます。

デジタコに関する補助金の詳細については、以下の記事で解説しているため、ぜひ参考にしてください。
デジタコ導入で利用できる補助金とは?補助率や申請条件を解説

監視と感じるドライバーもいる

デジタコは運行状況を細かく記録できる一方で、「常に監視されている」とストレスを感じるドライバーもいます。実際、休憩や待機のタイミングが細かく記録されることでプレッシャーを感じたり、業務外の行動まで把握されるのではと不安を抱いたりすることも考えられます。

こうした誤解や不信感を防ぐためには、導入前の社内説明が欠かせません。単に機器を取り付けるだけでなく、以下のような対応を行うことで、現場の理解と協力を得られやすくなります。

・導入の目的を明確に伝える(法令対応・業務効率化・労働時間の可視化など)
・個人情報の扱いについてのルールを文書化する
・運行データの使用範囲・保管期間を明示する

デジタコの目的が監視ではなく、ドライバーの負担軽減や安全確保であることを丁寧に説明することが大切です。

デジタコの使い方

デジタコの操作方法は製品によって多少異なりますが、大まかな流れは以下のとおりです。

1.出発前に必要に応じてドライバー認証や運行準備を行う
2.状態に応じて「走行」「停車」などのボタンを切り替え
3.帰庫後に「帰庫」ボタンを押すことで自動的に日報が作成される

上記のように操作はシンプルで、日報を事務所のパソコンから確認・印刷するだけで済むため、日々の記録作業がスムーズです。

保存形式については、SDカードのほか、クラウドに対応した製品であればデータが自動でサーバーに保存されるため、万が一の紛失リスクも抑えられます。

ナビとドラレコ対応のデジタコ「DTS-G1D」

運送業務において、正確な運行記録の管理やドライバーの労務管理は欠かせません。しかし、従来のアナログ管理では「記録が分散していて管理が煩雑」「運行管理がベテラン頼みになっている」といった課題を抱える現場も少なくないのが実情です。

そうした管理上の悩みに応えるのが、ナビとドラレコに対応したデジタコ「DTS-G1D」です。「DTS-G1D」の特徴として、以下が挙げられます。

・ナビやドラレコと連携し、さまざまな運行データの取得が可能
・事務所のパソコンからスムーズに目的地設定可能
・運行情報はリアルタイムでクラウドに保存されるため、紛失リスクなし
・車間距離や車線逸脱を検知し、ドライバーの安全運転を確保

これらの機能により、管理者はより正確で効率的な運行管理が可能となり、ドライバーの安全運転も促進できます。


まとめ

デジタコは、運転に関する情報を自動で記録できるので、安全運転のサポートにもなります。一部車両ではすでに装着が義務化されており、今後も対象の拡大が見込まれます。

「DTS-G1D」はナビやドラレコと連携し、記録・管理・指導の各面で活用できる実用性の高い製品です。業務の効率化や安全運転の推進のために、ぜひ「DTS-G1D」の導入を検討してみてください。

デジタコの導入には初期費用がかかりますが、国や自治体の補助金を利用できる場合もあります。デジタコ導入に関する助成金情報のご案内も可能ですので、ぜひお気軽にお声がけください。