こうした長時間労働の是正には、労働時間や運行状況の適切な把握と管理は重要です。デジタコはその手段の一つとして位置づけられており、運行時間や休憩・待機時間を正確に把握できることから、労務管理の改善に役立ちます。
もう一つの大きな理由は、ドライバーによる法令違反や事故のリスクを低減することです。運送業界では、速度超過や長時間の連続運転、休憩不足などが原因で重大事故につながるケースがあります。こうしたリスクの背景には、現場の状況が把握しづらく、管理が行き届きにくいことも一因として考えられます。
そこで注目されているのが、運転状況を正確に可視化できるデジタコです。デジタコを活用すれば、運行情報が自動で記録・保存されます。こうしたデータをもとに運行管理者が指導や改善を行えば、過労運転や危険運転の抑制にもつながります。
デジタコの装着義務に違反した際の罰則
前述したように、対象車両におけるタコグラフ(運行記録計)の装着は義務付けられています。 義務に違反した場合は、車両の使用停止などの行政処分を受ける可能性があり、企業活動に影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。
ここでは、未装着や記録不備といった違反内容ごとに、どのような罰則があるのかを整理して解説します。
未装着・非対応機器を使っていた場合
タコグラフ(運行記録計)を装着していない、あるいは要件を満たさない機器を使っていた場合(たとえ一部の記録ができていたとしても、法令で定められた形式・内容での記録が不十分とみなされた場合)、記録が適切に行われなかったものとして行政処分の対象となる可能性があります。
以下は、国土交通省の「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について」に基づく違反内容です。
| 違反内容 | 初違反の処分日数 | 再違反の処分日数 |
|---|
| 記録なし5件以下(※) | 警告 | 10日車 |
記録なし6件以上(※)
すべて記録なしを除く
| 10日車 | 20日車 |
| 全て記録なし | 30日車 | 60日車 |
| 記録の改ざん・虚偽記録 | 30日車 | 60日車 |
| 記録の一部保存なし | 警告 | 10日車 |
| 記録の全て保存なし | 10日車 | 20日車 |
※運行記録計による記録が必要な30乗務に対して
こうした違反は取引先との信頼関係を損ない、事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、十分な注意が必要です。
故障・記録不備がある場合
タコグラフ(運行記録計)を適切に装着していたとしても、記録装置が正常に動作していない場合や、データの記録に不備がある場合は注意が必要です。
故障や記録ミスがあった場合、「運行記録計不備違反」として反則金が科されることがあります。 以下は、警視庁の「反則行為の種別及び反則金一覧表」に基づく運行記録計不備違反の反則金額です。
| 車両区分 | 反則金額 |
|---|
| 大型車 | 6,000円 |
| 普通車 | 4,000円 |
出典:警視庁「反則行為の種別及び反則金一覧表」
たとえば、SDカードの未挿入や誤挿入による記録漏れ、タコグラフの時計がズレていたまま運行してしまうといった小さなミスでも、違反の対象になる可能性があるため注意しましょう。
デジタコ導入に向けて企業が実施するべきこと
今後のデジタコ装着義務化に備え、運送事業者が取り組むべき対策として以下の4つが挙げられます。
・デジタコの有用性の理解促進
・デジタコを活用できる人材育成
・適切なデジタコ選定
・補助金の活用
これらに取り組むことで、法令対応はもちろん、労働環境の改善や業務効率化を図ることが可能です。
導入コストが課題となっている場合は、補助金を活用しながら、必要な機能を見極めて導入計画を立てることが重要です。デジタコの導入で利用できる補助金については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
「デジタコ導入で利用できる補助金とは?補助率や申請条件を解説」
ナビとドラレコ対応のデジタコ「DTS-G1D」
運送業務では、正確な運行情報の記録やドライバーの労務管理が重要です。しかし、現在はアナログ管理が多く、ドライバーや運行管理者によって管理のばらつきが見られます。
こうした課題に対応するため、「DTS-G1D」の導入がおすすめです。「DTS-G1D」の特徴として、以下が挙げられます。
・ナビやドラレコと連携し、さまざまな運行データの取得が可能
・事務所のパソコンからスムーズに目的地設定可能
・運行情報はリアルタイムでクラウドに保存されるため、紛失リスクなし
・車間距離や車線逸脱を検知し、ドライバーの安全運転を確保
また、デジタコの導入に関する助成金の案内も可能です。導入を検討する際はお気軽にご相談ください。
まとめ
2025年6月時点では、タコグラフ(運行記録計)の装着が義務付けられている事業用車両があるものの、デジタコの導入はまだ義務化されていません。しかし、デジタコを導入することで、長時間労働の是正や安全運行の確保が可能になります。
業務効率化や安全運転の推進に課題を感じている場合は、「DTS-G1D」の導入をぜひご検討ください。運行情報の自動取得や保存だけでなく、安全運転指導にも役立ちます。また、初期費用が課題となっている事業者向けに補助金の情報提供も行っていますので、まずは気軽にご相談ください。