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コラム

デジタコの義務化はいつから?対象車両と罰則について解説

デジタコの義務化はいつから?対象車両と罰則について解説

更新日 : 2025.07.28
デジタコ

運送業界では、長時間労働や事故の多発といった課題を背景に、デジタコの導入が注目され、国も普及を積極的に進めています。しかし、「デジタコの義務化はいつからなのか」「自社も対応すべきなのか」と戸惑っている運行管理者もいるでしょう。

この記事では、デジタコの義務化に関する現状と今後の見通しを中心に、設置対象の車両や罰則内容、導入に向けたポイントについて解説します。デジタコの義務化に備えた導入の判断材料として、ぜひ参考にしてください。

デジタコ導入は現在義務ではない

2025年6月時点では、全てのトラックにデジタコの設置義務はありません。現在の制度では、アナタコとデジタコのいずれかを選択することが可能です。

ただし、法令や行政方針の動向を踏まえると、対応が後手にならないよう、早期に導入の可否を見極めておく必要があります。

なお、デジタコの種類や導入のメリットといった基本から知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
デジタコとは?3つの種類と導入のメリット、デメリットをわかりやすく解説

2027年までに装着率85%を目指している

デジタコの義務化はまだ実施されていませんが、国土交通省は将来的な装着率100%を見据え、装着率向上の目標を明確に打ち出しています。

具体的には、2027年までに対象車両(現在運行記録計が義務付けられている車両)におけるデジタコの装着率を85%まで引き上げる方針が示されています。さらに、装着率100%(完全普及)を目指して、追加の施策や義務化の要否についても検討が進められる予定です。

以上のことから、今すぐ全車両に義務があるわけではないものの、将来的な法改正や装着範囲の拡大に備えて、導入の検討を進めておくことが求められています。

タコグラフは義務化されている

2025年6月時点では、「貨物自動車運送事業輸送安全規則 第九条」に基づき、一定条件を満たす事業用車両に対してデジタコ・アナタコ問わずタコグラフ(運行記録計)による記録及び1年間の保存が義務付けられています。

義務化対象となる車両

2025年6月時点では、タコグラフ(運行記録計)による記録が義務付けられているのは、以下に該当する事業用車両です。これらに該当する車両には、瞬間速度、走行距離、走行時間の記録及び1年間の保存が義務付けられています。

一 車両総重量が七トン以上又は最大積載量が四トン以上の普通自動車である事業用自動車
二 前号の事業用自動車に該当する被けん引自動車をけん引するけん引自動車である事業用自動車
三 前二号に掲げる事業用自動車のほか、特別積合せ貨物運送に係る運行系統に配置する事業用自動車

出典:e-Gov「貨物自動車運送事業輸送安全規則

現在の基準は、平成26年12月1日に「貨物自動車運送事業輸送安全規則(国土交通省令)」が改正・公布された際に見直されたもので、それ以前は以下のような条件が適用されていました。

貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令について

この改正により、従来よりも小型の車両まで装着義務の対象が拡大されています。新規車両については2015年4月1日から、既存車両については2017年4月1日から新基準が適用されました。

デジタコの義務化が推進されている理由

デジタコの義務化が進められている背景には、運送業界が抱える「長時間労働の是正」と「重大事故の防止」の2つの構造的課題が関係しています。いずれも企業として対策が求められる項目であり、今後の制度改正に備えて、なぜデジタコの導入が推奨されているのかを理解しておくことが重要です。

ここでは、この2つの理由について具体的に見ていきます。

長時間労働を是正するため

運送業界は、他業種と比べて労働時間が長く、過重労働の常態化が社会問題となっています。厚生労働省の調査によると、2022年の年間労働時間(パートタイム労働者を含む)は以下のとおりです。

2022年の年間労働時間(パートタイム労働者を含む)

出典:厚生労働省「人口構造、労働時間等について

こうした長時間労働の是正には、労働時間や運行状況の適切な把握と管理は重要です。デジタコはその手段の一つとして位置づけられており、運行時間や休憩・待機時間を正確に把握できることから、労務管理の改善に役立ちます。

事故防止と安全運行を確保するため

もう一つの大きな理由は、ドライバーによる法令違反や事故のリスクを低減することです。運送業界では、速度超過や長時間の連続運転、休憩不足などが原因で重大事故につながるケースがあります。こうしたリスクの背景には、現場の状況が把握しづらく、管理が行き届きにくいことも一因として考えられます。

そこで注目されているのが、運転状況を正確に可視化できるデジタコです。デジタコを活用すれば、運行情報が自動で記録・保存されます。こうしたデータをもとに運行管理者が指導や改善を行えば、過労運転や危険運転の抑制にもつながります。

デジタコの装着義務に違反した際の罰則

前述したように、対象車両におけるタコグラフ(運行記録計)の装着は義務付けられています。 義務に違反した場合は、車両の使用停止などの行政処分を受ける可能性があり、企業活動に影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。

ここでは、未装着や記録不備といった違反内容ごとに、どのような罰則があるのかを整理して解説します。

未装着・非対応機器を使っていた場合

タコグラフ(運行記録計)を装着していない、あるいは要件を満たさない機器を使っていた場合(たとえ一部の記録ができていたとしても、法令で定められた形式・内容での記録が不十分とみなされた場合)、記録が適切に行われなかったものとして行政処分の対象となる可能性があります。

以下は、国土交通省の「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について」に基づく違反内容です。

貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について

※運行記録計による記録が必要な30乗務に対して

こうした違反は取引先との信頼関係を損ない、事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、十分な注意が必要です。

故障・記録不備がある場合

タコグラフ(運行記録計)を適切に装着していたとしても、記録装置が正常に動作していない場合や、データの記録に不備がある場合は注意が必要です。

故障や記録ミスがあった場合、「運行記録計不備違反」として反則金が科されることがあります。 以下は、警視庁の「反則行為の種別及び反則金一覧表」に基づく運行記録計不備違反の反則金額です。

反則行為の種別及び反則金一覧表

出典:警視庁「反則行為の種別及び反則金一覧表

たとえば、SDカードの未挿入や誤挿入による記録漏れ、タコグラフの時計がズレていたまま運行してしまうといった小さなミスでも、違反の対象になる可能性があるため注意しましょう。

デジタコ導入に向けて企業が実施するべきこと

今後のデジタコ装着義務化に備え、運送事業者が取り組むべき対策として以下の4つが挙げられます。

・デジタコの有用性の理解促進
・デジタコを活用できる人材育成
・適切なデジタコ選定
・補助金の活用

これらに取り組むことで、法令対応はもちろん、労働環境の改善や業務効率化を図ることが可能です。

導入コストが課題となっている場合は、補助金を活用しながら、必要な機能を見極めて導入計画を立てることが重要です。デジタコの導入で利用できる補助金については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
デジタコ導入で利用できる補助金とは?補助率や申請条件を解説

ナビとドラレコ対応のデジタコ「DTS-G1D」

運送業務では、正確な運行情報の記録やドライバーの労務管理が重要です。しかし、現在はアナログ管理が多く、ドライバーや運行管理者によって管理のばらつきが見られます。

こうした課題に対応するため、「DTS-G1D」の導入がおすすめです。「DTS-G1D」の特徴として、以下が挙げられます。

・ナビやドラレコと連携し、さまざまな運行データの取得が可能
・事務所のパソコンからスムーズに目的地設定可能
・運行情報はリアルタイムでクラウドに保存されるため、紛失リスクなし
・車間距離や車線逸脱を検知し、ドライバーの安全運転を確保

また、デジタコの導入に関する助成金の案内も可能です。導入を検討する際はお気軽にご相談ください。


まとめ

2025年6月時点では、タコグラフ(運行記録計)の装着が義務付けられている事業用車両があるものの、デジタコの導入はまだ義務化されていません。しかし、デジタコを導入することで、長時間労働の是正や安全運行の確保が可能になります。

業務効率化や安全運転の推進に課題を感じている場合は、「DTS-G1D」の導入をぜひご検討ください。運行情報の自動取得や保存だけでなく、安全運転指導にも役立ちます。また、初期費用が課題となっている事業者向けに補助金の情報提供も行っていますので、まずは気軽にご相談ください。