運送事業者の方々にとって、デジタコ(デジタルタコグラフ)のデータ管理は避けて通れない業務です。「法令では何年の保存が必要なのか」「もしデータを紛失したらどうなるのか」といった疑問をお持ちの運行管理者も多いのではないでしょうか。
実際、デジタコの保存期間を誤ると、指導や是正の対象になるだけでなく、事故や労務トラブル時に説明できないといった事態にもつながります。そのため、保存期間については「最低限守るべきルール」と「現場で困らないための目安」を分けて押さえておく必要があります。
この記事では、デジタコのデータ保存期間に関するルールや怠るリスク、安全に運行データを保存する方法について解説します。併せて、法令に沿った運行データの保存・管理を効率的に行える「クラウド型デジタコ」も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
デジタコ(運行記録計)のデータ保存期間は?
デジタコで記録した運行データの保存期間については、関連法令に基づく義務としての期間と、労務管理上のリスクに備えるための推奨期間があります。まずは、それぞれの保存期間について見ていきましょう。
なお、「そもそもデジタコとは何か」の基本から押さえておきたい方は、まず以下の記事をご覧ください。
「デジタコとは?3つの種類と導入のメリット、デメリットをわかりやすく解説」
法律上の義務は最低1年間
デジタコのデータ保存期間は「貨物自動車運送事業輸送安全規則」で法的に定められています。トラックなどの貨物自動車を使用する事業者は、デジタコなどの運行記録計で運行データを記録し、最低でも「1年間」にわたり保存しなければなりません。
運行記録計によって記録・保存が求められている代表的な項目が、「瞬間速度・運行距離・運行時間」の3つです。これらは一般に「法定3要素」と呼ばれています。また、対象となる車両にも一定の条件があります。具体的には「車両総重量が7トン以上」または「最大積載量が4トン以上」の事業用自動車などが義務の対象です。これらに該当する車両については、必ず法的な保存期間を守る必要があります。
労働基準法上の理想は5年間
法律上の明確な保存義務は1年間ですが、労務管理の観点からは「5年間」の保存が理想的です。これは、労働基準法の改正に関連しています。
労働基準法では、労働関連の重要書類を保存する期間が定められています。従来の保存期間は「3年間」でしたが、2020年4月の改正により「5年間」に変更されました。
労働基準法の条文上、「デジタコ」や「運行記録」といった名称が直接記載されているわけではありません。ただし、始業・終業時刻や休憩時間など、実際の労働時間を確認できるデジタコのデータは、労務管理上、労働時間を裏付ける重要な記録として扱われるのが一般的です。
たとえば、退職した従業員から未払い残業代を請求された場合、当時の勤務実態を示す客観的な資料がなければ、会社側が正当性を主張することは難しくなります。その点、デジタコの運行データは、事実関係を示す有力な根拠になります。
将来的な制度変更やトラブル対応まで見据えると、運送業法上の最低限である1年にとどめず、労働基準法の原則に沿って5年間保存しておく判断が、結果的にリスクを抑えることにつながります。
デジタコのデータ保存をおろそかにする問題点
デジタコのデータ保存は、法令対応のためだけに行うものではありません。保存や管理が不十分な状態が続くと、指導や是正の対象になるだけでなく、運行改善やトラブル対応の場面で必要な情報を確認できず、結果的に現場の負担が増えることがあります。
ここでは、デジタコのデータ保存をおろそかにした場合に、実際の運行管理や対応業務で起こりやすい代表的な問題点を解説します。
処罰の対象となるケースがある
最も直接的なリスクは、行政処分の対象となるケースがあることです。トラック協会の適正化事業実施機関による巡回指導や、運輸支局による監査では、運行記録の保存状況が確認項目の一つとして扱われています。
必要な期間のデータが保存されていなかったり、一部の記録が欠けていたりすると、是正指導の対象となることがあります。また、指摘事項が継続して改善されない場合には、評価に影響が及ぶケースもあります。
こうした評価は、「Gマーク(安全性優良事業所)」の認定取得や更新にも関わります。Gマークは、運行管理や安全対策が適切に行われている事業所であることを示す指標の一つであり、データ管理の状況も判断材料になります。そのため、運行記録の保存をおろそかにすると、結果的に事業所の信頼性に影響することも考えられます。
データによる運行の改善ができない
過去の運行データを蓄積できないと、業務改善の機会を逃してしまいます。
デジタコの運行データには、急加速・急減速の回数、速度超過の傾向など、ドライバーの運転特性を示す情報が記録されています。こうしたデータを分析することで、「特定の季節に事故リスクが高まる」「新人ドライバーに共通する運転の癖がある」といった傾向を客観的に把握することが可能です。
過去の正確なデータを残していないと、こうした分析を行えません。結果として、配送ルートの判断やドライバーへの安全運転指導などが、運行管理者の経験や勘に依存せざるを得なくなります。客観性・説得力のある判断を行うためには、データの積み重ねが欠かせません。
トラブル時に運行状況を確認できない
事故や配送遅延などのトラブルが発生した際、過去のデータがないと事実確認に多大な時間を要することになります。
たとえば、数か月前の配送に関して「トラックの運転が危険だった」といったクレームが入ったケースを考えましょう。当時の運行データを保存・管理していれば、速度グラフや走行履歴を確認し、急減速や速度超過の有無を客観的に検証できます。
しかし、記録が残っていなければドライバーの記憶に頼る対応となり、説明が主観的になりやすく、対応が長引くこともあります。運行データのような客観的な記録は、不当なクレームからドライバーと運送会社を守る重要な根拠となります。
デジタコの運行データを安全に保存するには
デジタコの運行データを長期間保存するには、日々の管理が属人的にならない仕組みを整えておく必要があります。ここでは、運行データを安全にかつ確実に保存するための具体的な方法とポイントを紹介します。
クラウド型のデジタコを活用する
特に効果的な解決策は、通信機能を持つクラウド型のデジタコを活用することです。
従来のSDカード式デジタコでは、帰庫後にドライバーがSDカードを回収し、事務所のパソコンでデータを取り込む運用が一般的でした。この方式では、カードの挿し忘れや回収漏れ、取り込み前の紛失など、運用面で注意が必要な場面が生じやすくなります。
その点、クラウド型デジタコは、LTE回線などを通して運行データを自動的にサーバーへ送信します。帰庫と同時にデータがクラウド上に保存されるため、日常的な作業に起因する記録漏れや紛失のリスクを抑えられます。
また、システム側でデータが安全に保管されるため、自社のパソコンでバックアップを取る手間も省けます。法定の保存期間はもちろん、自社で定めた期間に合わせて確実にデータを保持できるため、管理者の負担を大幅に軽減できるでしょう。
組織としての保存ルールを確立する
デジタコを導入しても、保存や管理のルールが曖昧なままでは、安定した運用につながりません。システム面の対策に加えて、組織としての管理ルールを明確に定めておく必要があります。
まずは、管理システムへのアクセス権限を明確にします。誰でもデータを削除・変更できる状態では、セキュリティ上の不安が残ります。「閲覧のみ可能な担当者」と「削除権限を持つ責任者」を区別し、内部不正を防ぐことが重要です。
また、システム障害や監査対応に備え、手順をマニュアル化しておくことも大切です。「誰が」「どのように」過去データを出力するのか、事前にフローを定めておくことで、突発的な対応が求められる場面でも落ち着いて対応できます。
運行データの保存・管理をクラウドで行えるデジタコ「DTS-G1D」とは
デジタコの運行データを安全に管理するうえでは、クラウド型デジタコの導入が有効といえます。そこでおすすめなのが、データ保存の法令遵守と業務効率化を両立できるクラウド型デジタコ「DTS-G1D」です。
DTS-G1Dの主な特長は以下の通りです。
・デジタコ・ドラレコ・ナビを1台に集約し、車内配線がすっきり
・LTE通信によるリアルタイム管理で、SDカード回収の作業が不要に
・7インチの大型タッチパネルで、スマホのように直感的な操作が可能
・独自の画像認識技術で車線逸脱や歩行者を検知し、安全運転を支援
DTS-G1Dの運行データは自動でクラウドセンターへ送信・保存されるため、SDカードの抜き差しや、手動でのデータ取り込み作業は一切不要になります。結果として、記録媒体の紛失や破損によって大切なデータが失われるリスクを抑えられます。
無料のオンラインデモも実施しています。実際の操作感や画面の見やすさを確認したい方は、お気軽にお問い合わせください。
デジタコのデータ保存に関するFAQ
最後に、デジタコのデータ保存に関して、運行管理者の方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1.紙で出力して保管する必要はある?
デジタコの運行データは、必ずしも紙で出力して保管する必要はありません。デジタコのような電子データとして保存されており、必要な情報を速やかに検索・閲覧できる状態であれば問題ないとされています。
ただし、巡回指導や監査の際には、その場で運行記録の提示を求められます。このとき、パソコンの画面上ですぐにデータを表示できるか、必要に応じて速やかに帳票を印刷できる環境を整えておきましょう。紙での保管は必須ではありませんが、「いつでも見られる、出せる」状態を維持しておくことが理想です。
Q2.運行データを削除するタイミングは?
法律上の義務である「1年間」が経過した後であれば、削除しても直ちに違法となるわけではありません。しかし、労務管理上のリスクを考慮すると、最低でも「5年間」程度は保持しておくのが安全です。
5年以上が経過したデータについては、事業所の判断で削除することになります。ただし、運行データは運行改善や指導の参考資料として活用できる場面もあるため、保存に支障がなければ、削除する必要はありません。
また、削除するとしても担当者の独断ではなく、文書管理規定や経営判断に基づいて行うことが大切です。「運行データは〇年経過後に削除する」など、事前にルールを決めておくと運用時の混乱を防げます。
Q3.デジタコを買い替えた場合、古い機種のデータはどうする?
デジタコを新しい機種に買い替えたとしても、過去の運行データに対する保存義務が消滅するわけではありません。古い機種で記録したデータも、規定の期間(最低でも1年間)は保持し続ける必要があります。
可能であれば、CSVなどの汎用形式で出力し、別の保存先に保管しておく方法も有効です。将来の監査やトラブル対応に備え、どこにデータが保存されており、どの手順で確認できるのかを明確にしておくことが重要です。
まとめ
デジタコのデータ保存期間は、運送業法上の義務である「1年間」に加え、労務管理やトラブル対応を見据えた「5年間」を一つの目安として運用する必要があります。
データ保存をおろそかにすると、巡回指導や監査への対応だけでなく、事故や労務トラブルが発生した際に、事実関係を確認できず対応が長引く原因になります。
運行データを安定して残し続ける方法の一つとして、「クラウド型デジタコ」があります。自動送信・保存の仕組みを取り入れることで、保存漏れや管理負担を抑えられます。
「データ管理の手間をなくしたい」「万が一の確認対応に備えておきたい」とお考えの方は、運行データの保存や管理を安定して行えるクラウド型デジタコ「DTS-G1D」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。