運送会社では、運行管理者が日々の安全運行を支える重要な役割を担っています。しかし、「運行管理者が急な体調不良で出勤できない」「退職して後任が見つからない」といった事態は、どの会社でも起こり得ます。
そのような状況で「運行管理者が不在でも通常どおり業務を続けてよいのか」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。運行管理者が不在時の対応を把握していないと、思わぬ法令違反や行政処分につながる恐れもあるため、注意が必要です。
この記事では、運行管理者が不在になる主な理由や、不在時に取るべき対応をわかりやすく解説します。人手不足を解消する方法も紹介しますので、運行管理体制を見直したい方はぜひ参考にしてください。
目次
運行管理者が不在になる主な理由
運行管理者の不在は、決して珍しいケースではありません。一時的な欠勤だけでなく、人材不足や事業拡大など、さまざまな理由によって発生します。代表的な理由は次のとおりです。
| 理由 | 詳細 |
|---|
| 一時的な欠員 | 病気や有給休暇などにより、一時的に不在となるケース |
| 担当者の退職による後任不在 | 退職後に後任の資格者をすぐに確保できず、不在状態が続くケース |
| 拠点の増加や事業拡大による人員不足 | 営業所の増加に対して運行管理者の確保が追いつかないケース |
特に、突発的な欠員は予測が難しく、どの会社でも起こり得ます。また、資格取得や知識が必要となる職種であるため、退職時の後任確保や新拠点での人員配備に時間がかかるケースも少なくありません。
特定の担当者へ負担が集中しないよう、あらかじめ不在時の代行ルールや計画的な人員確保を進めておくことが大切です。
運行管理者が不在時はどうする?
運行管理者が不在となった場合でも、現場の業務を止めることが難しい場面は少なくありません。しかし、運行管理者がいない状態でそのまま業務を続けてよいのか、不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
ここでは、運行管理者が不在となった場合の基本的な考え方と正しい対応方法を解説します。
原則として運行管理者の不在はNG
運送事業者は、車両数に応じた人数(29台までは1人、以降は30台ごとに1人追加)の運行管理者を選任し、管理業務に従事させることが義務付けられています。そのため、運行管理者が日常的に不在となる状態や、1人も確保されていない体制での営業は認められていません。
出典:国土交通省「事業用自動車の安全対策」
特に点呼やドライバーの健康状態の確認、安全指導などは、運行管理者の重要な業務です。こうした業務を無資格者に行わせた場合は行政処分の対象となるだけでなく、事故発生時に企業の管理責任が厳しく問われかねません。
ただし、外出や体調不良、有給休暇などにより、一時的に運行管理者が不在となること自体は実務上あり得ます。そのため重要なのは、「不在にならないこと」ではなく、不在時でも必要な運行管理業務を適切に実施できる体制を整えておくことです。
不在時は「運行管理補助者」が代行する
人的余力が少ない営業所では、24時間・365日体制で運行管理者を確保するのは現実的ではありません。そのため、あらかじめ「運行管理補助者」を選任しておき、運行管理者の一時的な不在時に一部の業務を代行させる体制が理想です。
運行管理補助者とは、運行管理者の指導・監督のもとで、点呼など一定の業務を代行できる担当者です。運行管理者基礎講習の受講でも要件を満たせるため、人材確保のハードルは比較的低いといえます。
運行管理補助者をあらかじめ選任しておけば、運行管理者が外出や休暇で不在となった場合でも、日々の点呼など必要な業務を継続しやすくなります。
運行管理補助者が代行できる業務の範囲と要件
運行管理補助者の配置は、運行管理者の不在対策として有効です。ただし、すべての運行管理業務を任せられるわけではありません。運行管理補助者が代行できる業務の範囲と、補助者として選任されるための要件を把握しておきましょう。
代行可能な業務範囲
運行管理補助者は、運行管理者の指導・監督のもとで、次の業務を代行できます。
・点呼の一部(少なくとも運行管理者が3分の1を実施する)
・運行指示書に関わる資料作成とドライバーへの伝達行為
すべての点呼を任せられるわけではなく、総回数の3分の1以上は運行管理者自身が行わなければなりません。補助者はあくまで業務のサポート役であり、運行管理者に代わって全権を担うことはできないルールです。
また、点呼中にドライバーの酒気帯びや過労などを発見した際は、直ちに運行管理者へ報告する義務があります。補助者の自己判断で運行の可否を決定せず、必ず運行管理者の指示を仰ぐ体制を徹底しましょう。
補助者になれる人の要件
運行管理補助者として選任できるのは、次のいずれかの要件を満たす人です。
・運行管理者資格者証(貨物または旅客)を取得している人
・国土交通大臣が認定する基礎講習を修了している人
補助者の選任にあたって、地方運輸局などへの届出は必要ありません。上記の要件を満たす人を社内で選任するだけで、正式な補助者として配置できます。
なお、業務に支障が出ない範囲であれば、同一事業者の別営業所と補助者を兼務させることも可能です。急な欠員に備えるためにも、事前の講習受講や社内での選任準備を計画的に進めておくことが大切です。
運行管理者・運行管理補助者のどちらも不在時のリスク
運行管理者だけでなく補助者も不在となれば、運行管理体制を維持できません。この状態で業務を続けると、行政処分を受けるだけでなく、事故発生時の責任や企業の信用にも深刻な影響を及ぼします。
両者が不在となった場合に生じる代表的なリスクを把握しておきましょう。
運行管理の不実施による罰則と行政処分
運行管理者と補助者のどちらも不在となり、必要な点呼などを実施しないまま運行を続けた場合、行政処分の対象となります。安全な運行管理は貨物自動車運送事業法にもとづき義務付けられているためです。
たとえば、点呼の省略や要件を満たしていない者による実施は「点呼未実施」と判断されます。違反の内容や回数によっては警告だけでなく、車両の使用停止(日車)が科されます。事業運営への影響はもちろん、荷主からの信用低下にもつながりかねません。
出典:国土交通省「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表」
さらに、違反を繰り返して累積違反点数が一定基準に達すると、事業停止などの重い行政処分を受ける恐れもあります。人員不足であっても法令違反を招かないよう、日頃から適切な運行管理体制を整備しておくことが大切です。
事故発生時に問われる安全配慮義務・法的責任
適切な点呼や安全確認を行わないまま事故が発生した場合、企業や経営者の責任が厳しく問われます。安全管理体制に重大な不備があったと見なされれば、刑事責任や多額の損害賠償責任を求められるケースも少なくありません。
また、重大事故を引き起こすと行政機関による処分のほか、企業名が公表される事態にも発展します。一度失われた社会的信用を取り戻すのは難しく、荷主との取引停止や採用活動の難航にも直結しかねません。
運行管理者の不在は現場の一時的なトラブルに留まらず、企業の存続に関わる経営課題です。平常時から代行体制や業務フローを確実に整備しておきましょう。
運行管理者の不在・人手不足を解消する2つの解決策
運行管理者の不在や人手不足は、短期間で根本的に解消できる課題ではありません。そのため、「業務負担を減らす仕組み」と「人材を育成・確保する体制」の両面から対策を進めることが重要です。
ここでは、運送会社が自社で取り組みやすい2つの具体的な解決策を紹介します。
解決策1:運行管理システムの導入
運行管理者の業務負担を軽減する手段としては、運行管理システムの導入が有効です。点呼や配車、勤怠管理などの情報を一元管理できるため、手作業による入力や確認業務を減らせます。
また、デジタコや配車システムと連携できる製品であれば、運行データを自動で取り込み、帳票作成や実績管理も効率化できます。運行管理者が少人数でも業務を回しやすくなり、特定の担当者へ負担が集中する状況の改善にもつながるでしょう。
運行管理者の負担軽減と業務の標準化を進めるためにも、自社の運用に合った運行管理システムの導入を検討してみましょう。なお、運行管理システムについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
「運行管理システムとは?機能やメリット、選ぶ際の比較ポイントを解説」
解決策2:人材育成・確保による体制強化
運行管理者が1人しかいない体制では、急な欠勤や退職が発生した際に業務が停滞してしまいます。そのため、特定の担当者へ依存する状況を避け、相互にカバーできる運用体制を構築することが重要です。
前述した運行管理補助者を計画的に育成し、基礎講習の受講などを進めておけば、不在時にもすぐ対応できます。また、複数の管理者を配置できる環境が整えば、担当者の休暇中や繁忙期にも安定した管理体制を維持できるでしょう。
人材の採用だけに頼るのではなく、社内で継続的に育成を進める仕組みを整えることが、急な人員不足にも強い組織づくりにつながります。
運行管理者の業務効率化なら「"一番星" 運送業システム」
運行管理者の不在リスクを減らすためには、人材確保だけでなく、日々の業務負担そのものを軽減することも大切です。
「"一番星" 運送業システム」は、運送業にまつわる情報を一元管理し、現場の負担軽減と効率化を支援します。主な特長は次のとおりです。
・配車・労務・実績データを一元管理し、経営判断を迅速化
・誰でも使いやすい画面設計により、入力ミスの防止と作業の標準化を実現
・デジタコ連携や整備カレンダーなど、運送業務に直結する機能を標準搭載
・運賃計算や請求書発行、勤怠データを活用した給与・社会保険料計算を自動化
・クラウド対応により、複数拠点やテレワーク環境でも利用しやすい
・マスタデータを取り込むだけで運用を開始でき、スムーズな導入が可能
運行管理業務をシステムで効率化すると、担当者1人に業務が集中しにくくなります。社内での情報共有もスムーズになり、急な欠員が発生した場合でも、複数人で対応できる体制を構築しやすくなるでしょう。
無料のオンラインデモも実施しています。運行管理体制の見直しや業務効率化を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
業務上の外出や突発的な欠勤により、運行管理者が一時的に不在となる状況は実務上起こり得ます。しかし、必要な管理業務を行わないまま運行を続けることは法令違反となります。あらかじめ選任した補助者に代行させるなど、不在時でも業務を継続できる体制を整えておきましょう。
点呼などを実施せずに運行を続けた場合、重い行政処分や事故発生時の管理責任につながります。日頃から補助者の育成を進めるとともに、システムを活用して現場の業務を効率化することが大切です。特定の担当者へ過度な負担が集中しないよう、相互にカバーできる組織づくりを進めてください。
「"一番星" 運送業システム」は、運送業務を一元管理して運行管理者の負担を大きく軽減するシステムです。不在リスクに備えた盤石な管理体制を構築したい方は、ぜひ導入をご検討ください。