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コラム

点呼記録簿の指示事項とは?手軽に記載する方法や実施のタイミングを紹介

点呼記録簿の指示事項とは?手軽に記載する方法や実施のタイミングを紹介

更新日 : 2025.06.30
点呼

点呼記録簿には、運行管理者がドライバーに伝えるべき指示事項を正確に記載する必要があります。しかし、「何をどこまで書けば十分なのか」「形式的になっていないか」と迷う人も多いのではないでしょうか。

この記事では、指示事項の内容から記載例、さらには現場で役立つ効率的な記録方法まで解説します。記録ミスによるトラブルを防ぎ、安心して点呼業務を行うためにも、ぜひ参考にしてください。

点呼記録簿の指示事項には何を書いたらいい?

点呼記録簿における指示事項は、安全運行を確保するために欠かせない重要項目です。ここでは、指示事項の基本的な考え方や具体的な記載例について解説します。

なお、点呼記録簿の指示事項を適切に記入するだけではなく、保存方法や保存期間の管理も法令を遵守するうえで重要です。下記の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
点呼記録簿の保存期間はいつまで?罰則を受けないための保存方法をご紹介

点呼記録簿の指示事項とは?

点呼記録簿における「指示事項」とは、運行管理者がドライバーに対して車両の安全運行を確保するために伝える具体的な指示内容のことです。指示事項には、以下のような内容が含まれます。

・雨天時は速度を落とし、車間距離を十分に確保すること
・初めて通るルートでは、事前に経路・道路状況を確認すること
・運転者が体調不良を訴えている場合は、無理な運転を避けるよう伝達すること

これらの指示事項は形式的な記録ではなく、実際のドライバーの状況やその日の運行条件に応じた具体的な指示が求められます。指示内容をしっかり記載することにより、万が一の事態の際の証拠となるだけでなく、日々の運行業務の質を高めるための参考情報としても活用できます。

指示事項への記載例

指示事項を一から考える作業は、忙しい現場の運行管理者にとって負担が大きいものです。そのため、よくある運行条件や注意点に応じた指示事項を事前にリスト化しておくと良いでしょう。

以下に、日常的な点呼で活用できる指示事項の一例を挙げます。状況に応じてカスタマイズし、自社用の「指示事項テンプレート」を整備しておくと便利です。

指示事項例

出典:公益社団法人福岡県トラック協会「点呼の実施・記録について」

このように指示事項は、単なる注意ではなく、運転者に対して具体的な行動を促すための重要なメッセージです。万が一事故や違反が起こった場合、指示が明確に記録されていたかどうかが企業の安全管理体制の信頼性を問われるポイントとなります。

ドライバーとのコミュニケーションの貴重な機会でもあるため、点呼記録簿を「書類を埋める作業」と捉えるのではなく、「安全運行を支える対話のツール」として活用していくことが大切です。

指示事項を空欄にしてはいけない理由

点呼記録簿の指示事項欄を空欄のままにしておくことは法令違反となり、以下の罰則が科される可能性があります。

点呼記録簿罰則表

このように、記載漏れや不備は単なる書類ミスではなく、行政からの厳しい処分につながる可能性があります。結果として一定期間車両を使用できなくなり、事業に大きな影響を与えるため、確実に点呼記録簿に記載するよう心がけましょう。

点呼記録簿の指示事項を手軽に記載する方法

毎日の点呼記録でその都度指示事項を手書きするのは、運行管理者にとって負担になるでしょう。そこで役立つのが、あらかじめ定型の指示内容をまとめた「指示事項一覧表」です。

一覧表を使えば、点呼記録簿には文章ではなく番号を記載するだけで済み、記録ミスや手間の軽減につながります。例えば、「運転中のスマホ使用禁止」を指示する場合、一覧表で「1」と定めておけば、記録には「1」と記載するだけで済みます。

ただし、指示事項を番号や記号のみで点呼記録簿に記載する場合は、「その番号や記号が何を意味するのか」を運転者全員に周知し、かつその一覧表を点呼記録簿に添付または備え付けておくことが必要です。

点呼記録簿の記載内容

点呼記録簿の記載内容は、「業務前点呼」「業務後点呼」「中間点呼」といった点呼のタイミングで異なります。ここでは、それぞれのタイミングで記載する内容について詳しく解説します。

業務前点呼の記載事項

業務前点呼は、ドライバーの安全運行を確保する重要な業務です。運行開始前の5~10分前が理想とされています。これより前に実施するとドライバーの体調に変化が現れる可能性があるためです。

・健康状態の確認(ドライバーの体調や疲労の状態を確認)
・飲酒のチェック(酒気帯びの有無を確認)
・車両状況の点検(日常点検の結果を確認)
・ルートや天候に関する指示(その日の運行条件に応じて、必要な指示を行う)

業務前点呼の記録簿には、以下の項目を漏れなく記載することが求められます。

業務前点呼の記載事項

運行管理者からドライバーに状況に応じた指示事項を伝達し、安全運転の意識を高めましょう。

中間点呼の記載事項

中間点呼は、2泊3日以上の長距離運行で対面での業務前点呼や業務後点呼ができない場合に実施します。業務前点呼同様、基本的に「天候変化による注意事項」や「道路状況」に関する指示を行います。

中間点呼の記録簿に記載 する内容は、以下の通りです。

中間点呼の記載事項

業務前点呼や業務後点呼とは違い、ドライバーと対面で実施できないため、具体的でわかりやすい指示を出すことがポイントです。

業務後点呼の記載事項

業務後点呼では、ドライバーの疲労状況や事故、異常がなかったかを確認します。帰庫後、5分以内に実施することが理想とされています。

業務後点呼では、新たな指示事項は不要ですが、確認・記載すべき事項があります。

業務後点呼の記載事項

業務後点呼では、交替運転者への連絡や運行中の道路状況・車両状態の報告など、当日の運行を振り返って記録・共有することが重視されます。

対面点呼以外でも指示事項の記入は必須

IT点呼・電話点呼・遠隔点呼など、対面以外の方法で点呼を実施する場合でも、指示事項の記録は必須です。これは、「貨物自動車運送事業輸送安全規則 第7条」に基づく運行管理の義務として明確に定められているからです。条文では、以下のように記されています。

貨物自動車運送事業輸送安全規則

出典:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」

「必要な指示を与える」こと、つまり状況に応じた具体的な指示を行い、その内容を記録することが、対面点呼以外でも法律上の義務となっています。対面点呼以外の点呼方法の種類については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
運行管理における点呼とは?実施のタイミング・確認事項・ルールを徹底解説

なお、近年では「IT点呼」「ロボット点呼」など、記録業務を自動化できるシステムも普及しています。これらのシステムを活用すれば、点呼記録簿への記録作業が効率化され、自動でクラウド上に保存されるため、記載漏れを防止できます。

点呼業務を正確かつ効率化できる「ロボット点呼・IT点呼」

点呼業務は、ドライバーの安全確保や事故・違反の防止の観点から欠かせない重要な業務です。しかし、運行管理者の人員不足や記録・保存漏れといった人為的ミスが課題となっています。

こうした現場の課題を解決する手段として、ぜひ「ロボット点呼・IT点呼」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。「ロボット点呼・IT点呼」の特徴として、以下が挙げられます。

・点呼業務の精度向上と効率化により、運行管理者の負担を軽減
・指示漏れや確認ミスを防ぎ、業務トラブルを未然に防止
・点呼記録簿はクラウド上に自動保存されるため、保管・検索も容易

記録が残っていないことによる法的リスクを減らし、指示の徹底と記録精度の両立が可能になります。デモンストレーションや料金については、以下よりぜひお気軽にお問い合わせください。


まとめ

点呼記録簿の指示事項は、安全運行を支える重要な記録であり、法令で義務付けられています。記載漏れは罰則対象となるため、状況に応じた具体的な指示を必ず記録しましょう。

「形式上の業務となっていて指示事項の記載漏れが起きるかもしれない」など、少しでも不安がある場合は、ぜひロボット点呼やIT点呼の導入をご検討ください。導入後もスムーズな運用支援のサポート体制をご用意しておりますので、正確で効率的な指示事項の管理を実現する一歩として、まずはお気軽にご相談ください。