点呼記録簿は法律により保存期間が定められており、適切に保存していない場合は罰則対象となる恐れがあります。しかし、「保存期間がわからない」「どのような方法で保存すればよいのかわからない」など疑問に感じている運行管理者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、点呼記録簿の保存期間や保存方法について、法的な根拠とともに詳しく解説します。さらに、違反した場合の罰則についても解説するため、法令遵守の観点からも参考にしてください。
点呼記録簿とは
点呼記録簿とは、運送事業者が法令に基づき適切に作成・保管しなければならない重要な記録文書のことです。ただ保管期間を守るだけでなく「なぜ保存が求められるのか」「違反した場合どのようなリスクがあるのか」を理解しておくことが重要です。
ここでは、点呼記録簿の重要性と法的義務について解説します。
点呼記録簿の重要性
点呼記録簿は、安全運行を支える重要な書類です。日々の点呼結果を正確に記録しておくことで、以下の役割を果たします。
・酒気帯び運転の防止
・ドライバーの体調不良の早期発見
・車両トラブルの予防
また、万が一事故や違反が起きた際、適切に点呼を行っていることの証明にもなります。つまり、点呼記録簿は安全運行の基盤であり、同時に企業の社会的信用や法的リスクから自社を守るためにも、確実な保管が不可欠です。
なお、運行管理における点呼の具体的な確認項目については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
「運行管理における点呼とは?実施のタイミング・確認事項・ルールを徹底解説」
点呼記録簿は法律で義務化されている
点呼記録簿の作成と保存は、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の第8条によって義務付けられています。

出典:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」
記録簿に不備がある、あるいは保存期間を守らなかった場合は、警告や車両の使用停止といった厳しい行政処分が課せられる場合があります。実際の処分事例として、2025年3月に発覚した日本郵政の事案では、点呼記録の虚偽記載により、5年間で2,500台のトラックが使用停止処分を受けました。
こうしたトラブルを避けるためにも、正確な記載と法定期間内の確実な保存を徹底することが重要です。
点呼記録簿を使用する3つのタイミング
点呼記録簿は、乗務前点呼・乗務後点呼・中間点呼の記録に使用されます。
それぞれの記載事項は以下のとおりです。

点呼記録簿に記載する指示事項については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
「点呼記録簿の指示事項とは?手軽に記載する方法や実施のタイミングを紹介」
また、以下リンクから点呼記録簿の雛形を無料でダウンロードできます。ぜひお役立てください。
資料ダウンロード | 一番星倶楽部
点呼記録簿の保存期間や保管方法は?
点呼記録簿は安全管理の観点からも、適切に保存・管理することが求められます。ここでは保存期間のルールや保管方法について詳しく解説します。
点呼記録簿の保存期間は原則1年
点呼記録簿は、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」により、1年間の保存が義務付けられています。
万が一、事故や法令違反が発生した際には、行政機関から点呼記録簿の提出を求められることがあります。適切に保存していなければ、記録不備として罰則の対象となり、車両使用停止などの重い処分を受けることになるため、十分な注意が必要です。
一般貸切旅客自動車運送事業者(貸切バス事業者など)については、2024年4月1日に点呼記録簿の保存義務が強化されました。

このように点呼記録簿の保存期間や方法は業態によって異なるため、該当する法令を正確に理解すること、及び最新の法令を改めて確認することが大切です。
点呼記録簿の保存方法は2つある
点呼記録簿の保存には従来型の紙による保管と、パソコンやクラウドなど電子データによる保管の2つの方法があります。それぞれに特徴があるため、実務内容や事業規模に合わせた選択が重要です。

紙保管は導入コストがかからず手軽ですが、1年間分の書類を保管するためのスペース確保が必要であり、劣化や紛失のリスクもあります。一方、クラウドを利用したデータ保管であれば、記録が自動で保存され、紛失や保存漏れの心配がありません。監査時の必要なデータ検索もすぐに対応できるため、作業の効率化やトラブル防止につながります。
とくに、ロボット点呼やIT点呼のシステムと連携すれば、点呼の実施から記録保存までを自動化できるため、記録漏れや保存期間の管理ミスを防止できます。
点呼記録簿が保存されていないと罰則対象になる?
点呼記録簿の管理に不備があった場合、監督官庁から行政処分や罰則を受けることがあります。対象となるのは、点呼記録簿の不備だけでなく、点呼の実施方法やアルコール検知器に関する違反も含まれます。
ここでは、点呼記録簿に関する違反時の具体的な罰則について解説します。
点呼記録簿に違反があった場合の罰則
点呼記録簿の主な違反対象となるのは、記録漏れ、虚偽の記載、不適切な保存といったケースが該当します。

同じ営業所で過去3年以内に同様の違反で行政処分を受けている場合、処分内容がより厳しくなります。初回は警告で済んだ軽微な違反でも、繰り返すことで車両使用停止という事業に直結する重い処分へと段階的に厳しくなるため、日常的な記録管理の徹底が不可欠です。
点呼の実施方法に違反があった場合の罰則
点呼を正しく実施しなかった場合も行政処分の対象となります。代表的な違反例としては、点呼自体を実施しない「点呼未実施」と、必要な項目を正しく確認・記録しなかった「不適切な点呼」が挙げられます。

点呼を適切に行うことは、安全な運行を守るために不可欠です。そのため、法律で定められた内容を漏れなく確認し、確実に実施すること求められます。
アルコール検知器の設置に違反があった場合の罰則
2024年10月1日より酒気帯び運転に対する処分が大幅に強化され、アルコール検知器に関する違反についても新たな処分基準が設けられました。

飲酒運転は人命に関わり、社会問題となるため、各種点呼や検知器の管理には厳しいルールが設けられています。そのため、アルコール検知器の設置から日常的な点検、適切な点呼の実施まで徹底することが重要です。
点呼業務を正確かつ効率化できる「ロボット点呼・IT点呼」
点呼業務は、ドライバーの安全確保や事故・違反の防止の観点から欠かせない重要な業務です。しかし、運行管理者の人員不足や記録・保存漏れといった人為的ミスが課題となっています。
こうした現場の課題を解決する手段として、ぜひ「ロボット点呼・IT点呼」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。「ロボット点呼・IT点呼」の特徴として、以下が挙げられます。
・点呼業務の精度向上と効率化により、運行管理者の負担を軽減
・指示漏れや確認ミスを防ぎ、業務トラブルを未然に防止
・点呼記録簿はクラウド上に自動保存されるため、保管・検索も容易
法令に沿った記録管理を無理なく実現しながら、業務全体の効率化にもつながります。デモンストレーションや料金については、以下よりぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
点呼記録簿は、法律により保存が義務付けられた重要な書類です。記載不備や保存漏れがあると、車両使用停止などの行政処分につながるリスクがあるため、確実な記録・保管が求められます。保存期間を守ることは、単なる法的義務ではなく、企業の事業継続と社会的信用を守るために不可欠な責務です。
点呼記録簿の保管方法やIT化に課題を感じている場合は、ぜひロボット点呼・IT点呼の活用をご検討ください。点呼記録やアルコール測定結果の自動保存により、人為的なミスを根本的に防ぎ、法令遵守と業務効率化を同時に実現できます。
導入後もスムーズな運用支援のサポート体制もご用意しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。