運行管理者にとって「点呼未実施」は、行政処分につながり得るため、日々の運用で確実に防いでおきたい項目です。もし、点呼未実施と判定された場合、未実施件数に応じて車両停止処分(日車)が科されます。監査では運用の実態が確認されるため、評価のされ方を事前に知っておくことが重要です。
この記事では、点呼未実施と見なされる具体的な条件や、違反時の行政処分の基準について解説します。併せて、点呼業務の負担を抑えながら、実施と記録を確実に行う方法の一つとして、「ロボット点呼」についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
点呼未実施とは
点呼未実施とは、運送事業で義務付けられている点呼(運行前後の安全確認)を怠ったと判断される状態のことです。
単に「点呼を行わなかった」ことだけを指すわけではありません。たとえ点呼を行ったつもりでも、法令で定められた方法や要件を満たしていなければ「点呼未実施」として扱われます。
国土交通省の処分基準にもとづき、点呼未実施と見なされる3つのケースを見ていきましょう。
点呼を行わないまま運行させた
最も基本的な違反は、乗務前・乗務後のいずれか、または両方で点呼を行わずに運行させた状態です。「業務が多忙だった」「うっかり忘れていた」といった理由は一切認められず、違反として扱われます。
また、運行管理者自身がドライバーとして乗務する場合も例外ではありません。管理者本人が点呼をスキップして乗務した場合も、当然ながら点呼未実施に該当します。
詳細は後述しますが、点呼の義務違反に対する処分は、点呼が必要な回数100回に対する未実施数で判断されます。たとえば、未実施が19件以下であれば初回は警告で済みますが、20件以上になると車両停止処分の対象です。
点呼の実施権限を有しない者が行った
点呼は誰が実施しても良いわけではありません。「運行管理者」または選任届出済みの「運行管理補助者」が行う必要があります。
実施権限がない事務員などが代行した場合は無効となり、点呼未実施と同じ扱いです。また、補助者選任の届出をしていない者が行った場合も認められません。
注意が必要なのが、運転者が自分自身に対して点呼を行う「セルフ点呼」です。ドライバーはもちろん、実施権限を持つ運行管理者や補助者であっても、セルフ点呼は禁止されています。必ず他の運行管理者や補助者から点呼を受けなければなりません。
法令で認められていない方法により点呼を行った
点呼は基本的に「対面」で行う必要があります。運行上やむを得ない場合を除き、電話やLINEなどの通話アプリだけで済ませる行為は認められていません。法令で認められていない方法で行った場合、実施したとは見なされず、点呼未実施となります。
ただし、一定の要件を満たしている場合は、機器を用いて遠隔で行う「IT点呼」や「遠隔点呼」が認められています。この場合でも、機器や実施場所に厳格な要件があります。IT点呼や遠隔点呼で定められた要件を満たしていなければ未実施扱いです。
点呼の種類や要件について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
「運行管理における点呼とは?実施のタイミング・確認事項・ルールを徹底解説」
点呼未実施だった場合に科され得る罰則
点呼未実施は、点呼を行ったものの内容に不備がある「不適切点呼」よりも重い違反として扱われます。違反の程度に応じて、段階的な行政処分が科される仕組みです。
ここでは、点呼未実施だった場合に科され得る2つの罰則について解説します。
車両停止処分(日車数)
点呼未実施の件数や違反歴に応じて、トラックの使用を禁じる「車両停止処分」が科されます。処分の重さは「日車(にっしゃ)」という単位で計算され、10日車であれば「1台を10日間停止」または「2台を5日間停止」という意味です。
再違反の場合は、処分基準がさらに厳しくなり、19件以下の未実施でも車両停止処分が科されます。具体的に科される車両停止処分について、下記の表にまとめました。
| 未実施件数 | 初違反 | 再違反 |
|---|
| ~19件 | 警告 | 10日車 |
| 20~49件 | 10日車 | 20日車 |
| 50件~ | 20日車 | 40日車 |
出典:国土交通省「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表」
車両が稼働できない期間は売上が立たないため、経営に直結するダメージとなるでしょう。
事業停止処分
違反が常態化している場合や、点呼に多くの不備がある場合は、車両停止よりも重い「事業停止処分」へと移行する恐れがあります。具体的には、日車処分の累積や短期間での違反繰り返し、是正命令に従わないケースなどが該当します。
事業停止処分は、違反点数に応じて判断される仕組みです。累積が51点以上となると事業停止、81点以上で許可の取り消しとなります。前述の車両停止処分を受けた場合も、10日車につき1点の違反点数が科されます。
出典:国土交通省「法令遵守事項と監査」
事業停止命令を受けると、期間中は事業の一部または全部が行えず、運送会社の経営に対して大きなダメージは避けられません。違反が重なると、事業の存続そのものが危ぶまれる事態になりかねないため、徹底した管理が必要です。
点呼未実施による罰則を防ぐためのポイント
点呼未実施による罰則を防ぐためには、現場の意識改革と体制作りが不可欠です。ここでは、具体的な2つのポイントをご紹介します。
点呼ルールを形骸化させない
まずは点呼の運用ルールを見直し、形骸化させない仕組みを作ることが重要です。点呼が形式的な作業になってしまうと、未実施や不備が発生しやすくなります。
特に、運行管理者が運転業務を兼任している場合は注意が必要です。誰が、どのタイミングで点呼を行うのかを事前に明確化し、点呼実施者が不在となる時間帯を生まないシフト管理が求められます。相互点呼のルールを定めておくことも有効です。
また、補助者を適正な人数配置することも有効な対策といえます。特定の担当者に依存せず、誰かが不在でも必ず有資格者が対応できる体制を構築しましょう。
IT点呼で負担を軽減する
人手不足で対面点呼が難しい場合は、点呼業務の負担を抑える手段として「IT点呼」が有効です。運行管理者が離れた拠点からでもドライバーの点呼を行えるため、早朝・深夜帯の対応や、営業所と車庫が離れている場合でも移動の手間をかけずに点呼を進められます。
ただし、従来のIT点呼を実施するためには、特別な条件を満たす場合を除いてGマーク(安全性優良事業所)の取得が前提です。使用する機器や必要な手続きなど、詳細は公式サイトを事前に必ず確認しましょう。
なお、要件を満たせばGマーク未取得でも導入可能な「遠隔点呼」もあります。IT点呼と遠隔点呼の違いや、それぞれの導入要件について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
「IT点呼と遠隔点呼の違いとは?4つの項目でわかりやすく解説」
点呼の負担軽減につながる"ロボット点呼「Kebbi」"とは
確実な点呼実施と業務効率化を両立させたい場合は、ロボット点呼「Kebbi」が有力な選択肢となります。Kebbiは、運行管理者に代わって点呼業務を代行する自動点呼機器です。
Kebbiの主な特長は以下のとおりです。
・乗務前後の点呼をロボットが代行し、負担を軽減
・点呼記録簿を自動作成し、クラウドで一元管理
・測定者の顔写真付きで記録を残し、不正や改ざんを防止
・ロボットが的確な指示・伝達をサポート
乗務前後の自動点呼に対応しており、運行管理者が不在でも法令に則った点呼を行えます。無料でオンラインデモも実施しています。自社の運用に合うか確認したい方は、お気軽にお問い合わせください。
点呼未実施の罰則に関するFAQ
最後に、点呼未実施の罰則に関して、よくある質問とその回答をまとめました。
Q1.点呼記録を紛失した場合も点呼未実施と見なされる?
点呼記録を紛失した場合は「点呼の記録違反」と見なされ、点呼未実施とは別の基準によって罰則が科されます。点呼未実施と同様に、具体的な罰則は違反の程度や違反歴によって決まる仕組みです。
点呼の記録違反による具体的な罰則について、下記の表にまとめました。
| 記録の保存状況 | 初違反 | 再違反 |
|---|
| 一部保存なし | 警告 | 10日車 |
| 全て保存なし | 10日車 | 20日車 |
出典:国土交通省「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表」
ただし、実際には点呼を行っていないにもかかわらず、「記録を紛失した」と偽って報告することは厳禁です。虚偽が発覚すると、点呼未実施に加えて後述する「虚偽の報告」などのペナルティが科される恐れもあります。
Q2.点呼未実施をごまかす虚偽記載はペナルティが重くなる?
点呼を行っていないにもかかわらず、記録簿に「実施した」と嘘を書く行為は極めて危険です。これは「記録の改ざん・不実記載」や「虚偽の報告」にあたり、単なる未実施よりも重いペナルティが科される恐れがあります。
虚偽の記載や報告による具体的な罰則について、下記の表にまとめました。
| 違反内容 | 初違反 | 再違反 |
|---|
| 記録の改ざん・不実記載 | 30日車 | 60日車 |
| 虚偽の報告 | 40日車 | 80日車 |
出典:国土交通省「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表」
監査では、運転日報やデジタコ(運行記録計)のデータと照合が行われます。「点呼時刻よりも前に出庫している」といった矛盾があれば、虚偽がすぐに発覚するでしょう。隠蔽工作は信頼を失うだけでなく、より厳しい処分を招く原因となります。
まとめ
点呼未実施は、車両停止や事業停止といった深刻な行政処分につながる重大な違反です。「うっかり」や「人手不足」は理由になりません。無資格者による点呼やセルフ点呼も未実施として扱われ、ペナルティの対象となります。
点呼未実施による罰則を回避し、安全な運行を継続するためには、ルールの徹底と仕組み作りが欠かせません。人手に頼った管理に限界を感じている場合は、IT点呼やロボット点呼の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
法令遵守と業務効率化を同時に実現したい方は、ぜひロボット点呼「Kebbi」をご検討ください。