運送業では、ドライバー不足が課題として取り上げられる場面が多くなっています。しかし、現場を支える運行管理者についても、人手不足や業務負担の増加に悩む運送会社は少なくありません。
運行管理者は、点呼や安全指導などを担う重要な存在です。人員が不足すると法令違反を招く恐れがあるため、既存の運行管理者の負担を減らす取り組みが欠かせません。
この記事では、運行管理者不足の実態をデータとともに紹介します。不足が生じる原因や放置するリスク、具体的な対策についても解説しますので、運送会社の人材確保や業務改善にぜひお役立てください。
目次
運行管理者は不足しているのか
運行管理者不足は、ドライバー不足ほど注目される機会は多くありません。しかしデータを見ると、一定数の運送会社が運行管理者の確保に課題を抱えている現状がうかがえます。
国土交通省のデータによると、トラック運送事業者の約2割が「運行管理者が不足している」と回答しています。業界全体で深刻な人手不足とまでは言えないものの、決して無視できる数字ではありません。
また、営業所に配置されている運行管理者数を見ると、約6割が1~2人です。決して人的余力が十分にある数字とは言えず、少人数で業務を回している営業所の多さがうかがえます。
もちろん、運送会社によっても人手不足の状況はさまざまです。しかし、現状は少人数で業務を回せていたとしても、運行管理者が休職や退職した際に業務負担が一気に増え、運行管理体制の維持が難しくなるリスクを抱えています。
今後も安定した運行体制を維持するためには、運行管理者の確保とあわせて、限られた人員でも効率的に業務を進められる体制づくりが不可欠です。
出典:国土交通省「運行管理高度化のニーズ調査結果について」
なぜ人手不足を感じる運行管理者が少なくないのか
運行管理者不足の背景には、単純な人手不足だけではない複数の要因があります。ここでは、運行管理者が不足しやすい主な3つの理由を見ていきましょう。
国家資格の取得ハードルが高いため
運行管理者は国家資格が必要な職種であり、そのハードルは決して低くありません。そのため、欠員が出てもすぐに代わりの運行管理者を補充することが難しいのが現状です。
貨物運送業の運行管理者として選任されるためには、「運行管理者試験(貨物)」に合格する必要があります。この試験の合格率はおおむね30%台で推移しており、事前の十分な対策が必要です。
また、受験にあたっては運行管理に関する1年以上の実務経験、あるいは基礎講習を受けるなどの要件もあります。加えて、ここ数年は試験の受験者数自体も減少傾向です。資格保有者の母数が増えにくい状況が続いており、欠員が生じた際の後任確保が難しくなっています。
高齢化による退職者が増えているため
運行管理者の高齢化も、人手不足を感じる理由の1つです。
国土交通省のデータによると、トラック運送業の運行管理者は50代以上が約半数を占めています。一方で、40歳未満の割合は少なく、若手人材への世代交代が十分に進んでいるとは言えない状況です。
出典:国土交通省「運行管理高度化のニーズ調査結果について」
今後、ベテラン運行管理者が定年退職を迎える運送会社は増えていくでしょう。後継者の育成が間に合わなければ、人手不足はさらに深刻化する恐れがあります。
また、知識や経験が豊富な運行管理者ほど、業務が属人化しがちです。引き継ぎが不十分なまま退職を迎えると、営業所全体の運営へ影響が及ぶこともあります。
法改正などにより業務負担が増加したため
近年は法令対応が増え、運行管理者1人あたりの業務負担も大きくなっています。
2024年問題への対応では、ドライバーの時間外労働の上限規制にあわせて、拘束時間や休息期間などをこれまで以上に適切に管理する必要が生じました。点呼や労務管理、帳票作成など、日常業務も複雑になっています。
また、ドライバー不足が続くなかで、限られた人員を前提とした配車調整や運行計画の見直しを求められる場面も増えています。急な欠員や配送依頼の変更に対応するため、運行管理者が幅広い業務を担うケースも珍しくありません。
このような状況が続くと、既存の運行管理者へ業務が集中しやすくなります。人手不足を解消するためには、採用や育成だけでなく、業務そのものを効率化する視点も重要です。
※記事は近日公開予定です
運行管理者の不足がもたらすリスク
運行管理者が不足して困るのは、運行管理者自身だけではありません。ドライバーや運送会社を含め、さまざまな問題が発生するリスクが高まります。ここからは、運行管理者不足によって懸念される主な3つのリスクを見ていきましょう。
法令違反による行政処分や事業停止
運行管理者を適切に配置できない状態が続くと、法令違反として行政処分の対象となる場合があります。
運送会社は、営業所が保有する車両数に応じて、必要な人数の運行管理者を選任しなければなりません。法定人数を満たさないまま事業を継続すると、貨物自動車運送事業法違反に問われる恐れがあります。
出典:事業用自動車の安全対策:自動車総合安全情報
また、人員が不足していると日々の点呼や運転日報の確認など、本来実施すべき業務が滞りがちです。行政監査で不備を指摘された場合、改善命令だけでなく、車両の使用停止や事業停止などの処分に発展しかねません。
法令違反は運送会社の信用低下に直結するため、適切な運行管理体制の維持が重要です。
安全管理体制の低下による事故やトラブルの増加
運行管理者の負担が大きくなると、安全管理の質が低下し、事故やトラブルを招く要因になります。
運行管理者には、点呼によるドライバーの健康状態や酒気帯びの有無、疲労の状況などの確認が欠かせません。しかし、点呼の担当者が少ない状況では、1人で多くのドライバーを管理しなければならず、確認作業が十分に行えない場面も出てきます。
また、配車調整や帳票作成などの業務が重なると、安全指導や教育に十分な時間を確保しづらくなります。小さな確認漏れや判断ミスが積み重なれば、ヒューマンエラーや重大事故につながる危険性も高まるでしょう。
安全運行は運送会社にとって最優先事項です。その土台となる運行管理体制が弱まれば、会社全体に影響を及ぼしかねません。
離職率上昇や人手不足の悪循環
運行管理者不足は、さらなる人材流出を招く悪循環を生み出す要因にもなります。
担当者が不足すると、残された運行管理者へ業務が集中します。長時間労働によって疲労の蓄積や精神的な負担が続けば、休職や離職につながるケースも少なくありません。さらに運行管理者が減れば、1人あたりの負担はますます増え、人手不足が深刻化する悪循環に陥ります。
また、運行管理者の人手不足はドライバーにも波及します。運行管理体制が手薄になると、安全指導や労働時間管理に十分な時間を割けなくなるためです。現場へのフォローが行き届かなくなれば、ドライバーの負担増加や職場満足度の低下を招きます。
運行管理者の不足を解消するための対策
運行管理者不足を解消するためには、採用だけに頼るのではなく、人材育成や業務改善にも取り組むことが大切です。ここでは、運行管理者の不足を解消するための有効な2つの対策を紹介します。
資格取得支援制度による社内人材の育成
長期的な人材確保を目指すのであれば、社内で運行管理者を育成する仕組みづくりが欠かせません。資格取得のハードルを下げる支援制度を整え、計画的に人材を育成することが重要です。
たとえば、受験費用の補助や試験対策講座の受講支援を行う、合格者に報奨金や資格手当を支給する、といった施策が考えられます。資格取得の負担を軽減し、取得後のメリットを増やすことで、事務員やドライバーが前向きに取り組みやすくなります。
運行管理者は、外部から必要な人材をすぐに採用できる職種ではありません。また、資格取得にも一定の時間を要します。将来の退職や人員不足を見据え、社内で計画的に人材を育成する体制を整えることが大切です。
運行管理システム導入による業務負担の軽減
人材確保とあわせて取り組みたいのが、日々の業務を効率化する仕組みづくりです。
運行管理システムを導入すると、点呼記録や配車計画、各種帳票などを一元管理できます。紙やExcelで管理していた情報をデジタル化すれば、転記作業や確認作業の手間が減り、運行管理者が安全管理へ時間を割きやすくなります。また、情報共有がスムーズになるため、担当者ごとの業務の偏りや属人化の防止にも有効です。
運行管理者不足への対策は、人を増やすことだけではありません。業務の進め方を見直し、1人あたりの負担を減らす取り組みも同じくらい重要です。なお、運行管理システムについて詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
「運行管理システムとは?機能やメリット、選ぶ際の比較ポイントを解説」
運行管理者が働きやすい環境を実現する"一番星" 運送業システム Ver.8
運行管理者の業務負担を減らし、人手不足対策を進めるためには、日々の事務作業の効率化が不可欠です。その具体的な解決策として、「"一番星" 運送業システム Ver.8」の導入をおすすめします。主な特長は以下のとおりです。
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まとめ
運行管理者不足は、運送業全体で一律に深刻な状況というわけではありません。しかし不足を感じている運送会社は決して少なくなく、多くの営業所が少人数で業務を担っている実態があります。
人材不足を放置すると、法令違反や安全管理体制の低下、離職率の上昇など、経営に大きな悪影響を及ぼします。そのため、資格取得支援による人材育成とあわせて、システムを活用した業務負担の軽減に取り組むことが大切です。
「"一番星" 運送業システム Ver.8」は、運送会社のさまざまな業務を一元管理し、効率的な職場環境づくりを支援します。限られた人員でも安定した運行管理体制を構築したい方は、ぜひシステムの活用を選択してみてはいかがでしょうか。