トラック運送業の日常業務において、運転日報はドライバーの運行状況を証明する大切な書類です。しかし、「法律上は何年間保存すればよいのか」「古い日報がたまって管理しきれない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
また、紙の運転日報を長期間保管する場合、保管スペースや検索作業の負担も無視できません。運転日報の運用では、コンプライアンスを守るだけでなく、日々の管理業務をスムーズに進める工夫も大切です。
この記事では、運転日報の正しい保存期間や保存を怠った際のリスク、効率的な管理方法をわかりやすく解説します。管理の手間を根本から減らすコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
トラック運送業における運転日報(乗務記録)の保存期間
トラック運送業の運転日報は、法令上「乗務等の記録」として扱われます。貨物自動車運送事業輸送安全規則では、事業者に対して乗務等の記録を作成し、保存するよう定めています。
また、日報の用途によっては運送法だけでなく労働基準法も関係してくるため注意が必要です。ここでは、運送業の安全管理に関する保存義務と、労務管理に関する保存義務を分けて確認しましょう。
貨物自動車運送事業輸送安全規則にもとづく保存義務は「1年間」
トラック運送業の運転日報は、原則として「1年間」にわたり保存する必要があります。貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条では、事業者に乗務等の記録を作成させ、その記録を1年間保存するよう定めています。
出典:e-Gov 法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則(第八条)」
記録には、ドライバーが乗務した車両や運行の開始・終了、走行距離などを記載します。荷待ちや荷役作業など、一定の業務についても記録が必要です。
保存した記録は、監査などで確認を求められる場合があります。紙のバインダーで保管する場合も、必要な日報をすぐ提示できるよう整理しておきましょう。
労働時間の記録として扱う場合は労働基準法により「5年間(当面3年)」
運転日報に記録した内容が「労働時間を把握するための資料」にあたる場合は、労働基準法上の保存義務も考慮しなければなりません。労働基準法第109条では、労働関係に関する重要な書類の保存期間を「5年間」と定めています。
ただし、2020年改正法の経過措置により「当分の間は3年間の保存でよい」とされています。出勤簿やタイムカードだけでなく、始業・終業時刻などを確認する運転日報もこの対象です。なお、経過措置の終了時期は未定のため、実務上は将来を見据えて5年間の保存体制を整えておく運用が推奨されます。
出典:厚生労働省「事業者のための労務管理・安全衛生管理WEB診断サイト」
運転日報を労働時間の算定や確認に利用している場合は、運送業のルールだけでなく労務管理上の保存期間も意識しましょう。未払い残業代などの労務トラブルに備える意味でも、社内の保管ルールを明確にしておくことが大切です。
トラックドライバーの運転日報を適切に保存しないリスク
運転日報は、単に保管しておけばよい書類ではありません。法令で定められた記録を適切に作成・保存することは、安全運行や労務管理にも関係します。
ここでは、運転日報を適切に保存しない場合に生じる主な3つのリスクを見ていきましょう。
監査で行政処分を受ける
運転日報の保存に不備があると、監査の際に業務の記録義務違反を指摘される恐れがあります。貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条の違反に対しては、違反件数や程度に応じた行政処分の基準が設けられているためです。
たとえば、対象となる記録が全て存在しない場合は、初違反でも30日車(再違反は60日車)の処分基準が設定されています。日車とは車両の使用停止処分を表す単位です。30日車であれば「1台を30日間使用停止」または「3台を10日間使用停止」することを意味します。
違反の程度や頻度に応じて重い処分が下されるため、十分な注意が必要です。
出典:国土交通省「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について」
また、運転日報の作成・保存状況は、Gマーク(安全性優良事業所)の認定・更新審査における評価項目にも含まれています。保存状況の不備は、安全性の評価にも影響する点に注意しましょう。
出典:全日本トラック協会「Gマーク『安全性に対する法令の遵守状況』の評価項目」
運転日報は作成するだけでなく、法令で定められた期間にわたって適切に保存しましょう。監査などで確認を求められた際に、必要な記録をすぐ提示できる状態にしておくことも重要です。
労務トラブル時に証拠が不足する
運転日報は、ドライバーの労働時間や業務状況を把握する重要な根拠になります。しかし、記録が欠落していたり紛失していたりすると、実態を証明する客観的な手立てを失いかねません。
たとえば、未払い残業代を巡るトラブルでは、荷待ちや積み下ろしの時間を「労働時間」と「休憩」のどちらとして扱うかが争点になることがあります。日報などの記録が残っていなければ、会社側が休憩時間だったと説明する材料も乏しくなります。
実際の労働審判でも、会社側が日報や運転時間の記録を提出し、請求された拘束時間に休憩時間が含まれていたと示せたことで、請求額が減額された事例があります。
出典:弁護士ドットコム「中小企業が、元従業員から約800万円の未払残業代を請求されたが、約100万円に減額した事例」
日報だけで全てを証明できるわけではありませんが、出勤簿などと並ぶ有力な立証資料です。運転日報を労務管理に活用している企業では、保存期間の遵守だけでなく、記録の正確性や検索性にも注意を払いましょう。
「トラックドライバーの労働時間の上限は?超過のリスクと対策を解説」
事故や運行状況の確認が難しくなる
運転日報には、車両の走行ルートや休憩場所、作業内容といった詳細な運行実態が記録されています。適切に保管されていない状態では、安全管理や業務改善に必要なこうした情報を追えなくなってしまいます。
万が一トラックが事故や配送トラブルを起こした際、当日の運行履歴や待機状況の確認が欠かせません。記録が残っていなければ、警察や荷主に対する正確な事実説明が遅れ、再発防止策の策定にも支障をきたします。
また、蓄積された日報データを分析すれば、ドライバーごとの運転傾向や車両の稼働効率を客観的に把握できます。運転日報を単なる保管書類として終わらせず、安全指導や配送ルートの最適化に活用することも大切です。
トラックドライバーの運転日報を確実に保存・管理するポイント
日々増え続ける運転日報を適切に保管するためには、社内の運用体制を整える必要があります。ここでは、トラックドライバーの運転日報を確実に保存・管理するための3つのポイントを解説します。
保存期間と廃棄時期を明確にする
まずは、社内で運転日報の保存期間と廃棄基準を統一したルールとして定めましょう。法令上の保存義務を踏まえたうえで、自社の労務方針に合わせた保管年数を明確にすることが大切です。
期間を定めた後は、月ごとにバインダーを分け、表紙に「廃棄予定年月」を明記したラベルを貼ります。保存期限を視覚的に判別できるように整えておけば、管理担当者以外のスタッフでも迷わずに扱えます。
あわせて、期限を過ぎた書類を定期的に処分する運用フローも決めておきましょう。漫然と保管し続ける状態を防ぐことで、保管スペースの圧迫や書類管理にかかる負担を抑えられます。
必要な日報をすぐ確認できるよう整理・管理する
運転日報は、巡回指導や万が一の労務トラブルに備えて、必要な記録をすぐ取り出せる状態にしておくことが大切です。
紙で管理する場合は、月別やドライバー別など、自社で検索しやすいルールを決めて規則正しくファイリングしましょう。あわせて、書類の紛失や無断持ち出しを防ぐために、鍵付きの書庫へ保管するなどセキュリティ面への配慮も欠かせません。
ただし、紙の書類は保管量が増えるほど整理や検索にかかる負担が大きくなります。管理対象となる日報の枚数が多い企業では、電子データ化を含めた運用体制の見直しも視野に入れるとよいでしょう。
クラウド型デジタコで運転日報の作成・保存を自動化する
紙の運転日報は保管スペースを必要とするだけでなく、過去の記録を探す際にも手間がかかります。こうした負担を減らすには、クラウド型デジタコの活用が有効です。
クラウド型デジタコであれば、記録された運行データを元に運転日報を自動作成し、クラウドへ送信・保存できます。手書きによる作成や回収、保管の作業を減らせるため、効率的な日報管理を実現可能です。
また、管理画面から過去の運転日報を確認できるため、必要な記録を探す手間も抑えられます。運行管理者による確認作業の負担軽減にもつながるでしょう。デジタコについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
「デジタコとは?3つの種類と導入のメリット、デメリットをわかりやすく解説」
運転日報の作成・管理を効率化するならクラウド型デジタコ「DTS-G1D」
運転日報の作成・管理を効率化したい場合は、クラウド型デジタコ「DTS-G1D」の活用をおすすめします。
「DTS-G1D」は、デジタコ・ドライブレコーダー・カーナビを1台に集約したクラウド型デジタコです。運行データを活用して運転日報を自動作成できるほか、クラウド上でのデータ管理にも対応しています。主な特長は以下のとおりです。
・デジタコが取得した運行データを元に運転日報を自動作成
・LTE通信で運行データをクラウドへ自動送信・保存し、SDカードの回収や手動での取り込みが不要
・管理画面から運転日報を確認でき、紙の日報の回収・保管にかかる負担を軽減
・デジタコ・ドライブレコーダー・カーナビを1台に集約し、安全運転の支援にも活用
紙の日報の保管や回収、過去の記録を確認する作業に負担を感じている企業にも適しています。運行データをクラウド上で管理することで、運転日報の作成から確認までを効率化することが可能です。
実際の機能や操作画面を確認したい方は、お気軽にお問い合わせください。
運転日報のデータ保存に関するFAQ(よくある質問)
最後に、運転日報のデータ保存や管理に関してよくある疑問に回答します。
Q1. 運転日報は紙で保存する必要がありますか?
運転日報は、法令上の要件を満たしていれば電子データで保存しても問題ありません。労務関係の重要書類についても、厚生労働省は一定の要件を満たすことでパソコン上での作成・保存を認めています。
具体的には以下の要件です。
1. 法令で定められた要件を具備し、かつそれを画面上に表示し印字することができること。
2. 労働基準監督官の臨検時等、直ちに必要事項が明らかにされ、提出し得るシステムとなっていること。
3. 誤って消去されないこと。
4. 長期にわたって保存できること。
出典:厚生労働省「労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。」
画面への明瞭な表示や速やかな印刷ができること、監査時に直ちに必要な記録を提出できるシステムであることが主な条件です。あわせて、誤ってデータが消去されない対策や長期保存できる環境も求められます。
紙のバインダーによる保管スペースや管理の手間に悩んでいる場合は、電子データでの保存体制へ移行するとよいでしょう。
なお、「"一番星" 運送業システム Ver.8」のようなデジタコ連携の運行管理システムを利用し、クラウド等でのペーパーレス管理に移行すれば、物理的な保管スペースの削減や過去の記録の検索性向上につながります。
Q2. 退職したドライバーの運転日報は破棄してもいいですか?
退職したドライバーの運転日報であっても、法令上必要な保存期間を経過するまでは保管することが求められます。ドライバーが退職したことだけを理由に、すぐに廃棄することはできません。
特に、運転日報を労働時間の確認資料として利用している場合は、労働関係書類としての保存期間も考慮する必要があります。退職者の記録も在籍中の記録と同じルールで管理し、保存期限を過ぎたものだけを廃棄する運用にしておくと安心です。
まとめ
トラック運送業の運転日報は、貨物自動車運送事業輸送安全規則により「1年間」、労務管理の根拠資料としては労働基準法により「5年間(当面3年)」の保存が必要です。適切な保存を怠ると、監査での行政処分や労務トラブル時の証拠不足といったリスクを招きかねません。
紙のバインダーによる日報管理は、保管場所の圧迫や書類検索の手間が増える要因になります。保存期間や廃棄ルールを社内で統一し、必要な運転日報をいつでも確認できる体制を整えましょう。
日報管理の負担を根本から減らすためには、クラウド型デジタコの導入が効果的です。「DTS-G1D」を活用し、日報作成の自動化からペーパーレスなデータ保存まで一括管理してみてはいかがでしょうか。