運送事業では、乗務前後の点呼だけでなく、運行の途中で中間点呼が必要になる場合があります。しかし、長距離運行や宿泊をともなう業務では、「どの時点で中間点呼が必要になるのか」と判断に迷う場面も少なくありません。
この記事では、中間点呼が必要となる具体的な条件やケース、未実施の罰則について解説します。点呼業務の負担を減らす「ロボット点呼」についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
中間点呼とは
中間点呼とは、ドライバーが乗務途中に行う点呼のことです。長距離や長時間の運行において、過労運転や飲酒運転などを防止する目的で行われます。
通常の点呼は出発前と帰庫後に行いますが、複数日にわたる運行では営業所で対面確認できない時間が生じます。そのため、一定の条件(後述)に当てはまる場合は、運行途中でも中間点呼を行わなければなりません。
なお、適切な中間点呼の実施には、点呼ルールの正確な把握が不可欠です。以下の記事では、基本的な実施手順と併せて、近年普及しているIT点呼についても解説していますので、ぜひご参考ください。
「運行管理における点呼とは?実施のタイミング・確認事項・ルールを徹底解説」
中間点呼の実施方法
中間点呼は対面での確認ができない分、電話やIT点呼といった「リアルタイムで対話できる方法」での実施が必須です。声や映像からドライバーの異変を確実に察知し、その場で的確な指示を送らなければならないため、メールやチャット等の報告は認められません。
また、通常の点呼と同様に、実施するのは運行管理者、または届出済みの運行管理補助者に限られます。実施記録も併せて残しておく必要があります。
中間点呼で実施が求められる3つの項目
中間点呼では、ドライバーの安全運行を担保するため、以下の3項目の実施が求められます。
| 項目 | 実施内容 |
|---|
| 酒気帯びの有無 | 携行型のアルコール検知器による測定結果をドライバーに申告させます。併せて、顔色や呼気の臭い、声の調子などから酒気帯びの疑いがないかを確認しましょう。検知器の記録は帰庫後に改めて確認が必要です。 |
| 疾病、疲労、睡眠不足などのリスク有無 | 声のトーンや反応、会話内容からドライバーの体調を把握します。必要に応じて睡眠時間や疲労の程度を確認し、安全に運転を続けられる状態かを見ます。睡眠不足は点呼時に確認・記録が必要な項目です。 |
| 安全運転に必要な指示 | 運行ルートの道路状況や天候の急変など、安全運行に関わる最新情報を伝えます。そのうえで、休憩の取り方や速度の抑制など、必要な指示を具体的に伝えましょう。 |
参考:長野県トラック協会「点呼の実施と記録」
中間点呼は対面での点呼が行えない分、短時間の会話から異常を見逃さないことが大切です。特に疲労や眠気は本人が軽く申告しがちなため、受け答えの変化にも注意して確認しましょう。
中間点呼が必要な運行
運送事業において、中間点呼は常に必要というわけではありません。中間点呼が必要となるのは、2泊3日の運行のように、乗務前と乗務後のどちらも対面点呼等が行えない運行です。
つまり、夜間をまたぐ長距離運行であっても、その乗務ごとに乗務前および乗務後の点呼を対面または法令に基づく方法で実施できる場合は、中間点呼は不要となります。
中間点呼が必要になりやすい具体的な運行ケース
中間点呼は、出発前の計画段階で必要な場合もあれば、当日の急な運行変更で急遽求められる場合もあります。ここでは、中間点呼が必要になりやすい具体的な3つの運行ケースを見ていきましょう。
ケース1:2泊3日以上の宿泊をともなう長距離運行
最も典型的なのが、2泊3日以上の宿泊をともなう長距離運行です。出発地から遠く離れている期間が長く、営業所に戻らないまま数日間が経過することも珍しくありません。
初日や最終日は、乗務前または乗務後の点呼を対面または法令に基づく方法で実施できる乗務が多い一方で、運行の途中日など営業所に戻らない乗務については、乗務前後の点呼を対面で実施できない場合があるため、その乗務では乗務途中に中間点呼を実施する必要があります。
特に連泊をともなう運行では、日によって出発時間や休息時間が変わりやすく、点呼の実施タイミングが曖昧になりがちです。確認漏れを防ぐためにも、あらかじめ点呼を行う時間帯を決め、宿泊先からの連絡方法や記録手順を運行管理者と共有しておくことが大切です。
出典:長野県トラック協会「点呼の実施と記録」
ケース2:運行計画変更で対面不可となった複数日運行
たとえば、「当日中に帰庫し対面点呼を受ける予定」であったものが、急な配送先の追加により車中泊へ変更された場合、当初想定していた乗務前・乗務後の点呼を対面で実施できない乗務へと変わる場合があります。
このように、運行計画の変更により乗務前後の点呼を対面で実施できない乗務となった場合には、乗務途中に中間点呼を実施する必要があります。
出典:国土交通省「中間点呼及び運行指示書について」
ケース3:1泊2日で分割休息を取得する運行
1泊2日の運行でも、途中で「分割休息」を取得する場合は注意が必要です。分割休息とは、必要な休息期間を1回でまとめて取らず、複数回に分けて取得する特例制度を指します。
1日目の出発時と2日目の帰庫時に対面点呼を行えば、1泊2日では中間点呼は不要です。しかし分割休息を入れると、各休息期間の前後でも乗務後点呼と乗務前点呼が必要になります。その結果、運行中に中間点呼も必要になるケースがあります。
たとえば、1日目と2日目に1回ずつ、休息を取得するとします。この場合、「1回目の休息後から2回目の休息前まで」の区間は乗務前後で対面点呼が行えません。そのため、この区間の運行には中間点呼が必要です。
出典:群馬県トラック協会「分割休息取得時の点呼実施方法について」
中間点呼を怠るとどうなるのか
中間点呼が必要な状況であるにもかかわらず実施しなかった場合、運送事業者は行政上・実務上の両面で影響を受けます。ここでは、中間点呼を怠った際に起こり得る代表的な2つの問題を見ていきましょう。
車両停止や事業停止などの行政処分
中間点呼が必要な状況で怠った場合、「点呼未実施」として違反点数が加算されます。監査で未実施や記録の不備が発覚すれば、行政処分は免れません。
初回で軽微な点呼未実施の場合は警告で済みますが、再違反や未実施件数が多いと一定期間の車両停止処分が科され、運行に支障をきたすことは避けられません。
全運転者に対して点呼を全く実施していない場合は、事業停止処分となってしまいます。こうした法令違反は顧客離れを招き、経営に大きな打撃を与えるでしょう。
なお、点呼未実施の具体的な条件やペナルティについて詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
「点呼未実施の罰則とは?条件やペナルティ、防ぐポイントを解説」
事故やトラブルのリスク上昇
中間点呼は、安全上のリスクを検出するための重要な業務です。その中間点呼を怠ることは、ドライバーの健康状態や疲労の悪化を見落とす原因になります。過労運転や体調不良に気づけないまま運行を続ければ、重大な事故につながる恐れがあります。
万が一事故が発生した際、中間点呼の未実施が発覚すれば、企業の安全管理の義務違反が厳しく問われるでしょう。多額の損害賠償など、重い法的責任を負う事態にもなりかねません。
中間点呼の負担を減らすには
中間点呼の実施は、運行管理者にとってもドライバーにとっても重荷となりがちです。ここでは、中間点呼の負担を軽減するために有効な2つの対策をご紹介します。
運行計画を最適化する
まずは、そもそも中間点呼が発生しないように運行計画を最適化しましょう。中間点呼の回数自体が減れば、運行管理者やドライバーの負担軽減に直結します。従来の運行計画を分析し、無理のある配車があれば見直してください。
乗務前か乗務後のどちらか一方は、必ず対面点呼ができるように配車を組めば、中間点呼は不要です。また、複数のドライバーで荷物をリレー形式で運ぶ「中継輸送」の導入も有効といえます。このように、過剰な中間点呼が発生しないよう工夫しましょう。
IT点呼・遠隔点呼を取り入れる
運行計画の変更が難しい場合は、IT点呼や遠隔点呼の導入をおすすめします。これらは、一定の要件を満たしたIT機器を用い、遠隔で点呼を行う方法です。運行管理者とドライバーが離れていても対面点呼と同等の点呼を実施できるため、地理的な制約を解消する一助となるでしょう。
IT点呼や遠隔点呼は、点呼業務をデジタル化・効率化するうえでも有効な手段です。深夜早朝の点呼対応など、運行管理者の負担を根本的に削減できます。
なお、IT点呼と遠隔点呼は混同されがちですが、制度として区別されています。具体的な違いについては、以下の記事を参考にしてください。
「IT点呼と遠隔点呼の違いとは?4つの項目でわかりやすく解説」
点呼の負担軽減につながる"ロボット点呼「Kebbi」"とは
確実な安全管理と業務負担の軽減を両立したい運行管理者には、ロボット点呼「Kebbi」の活用をおすすめします。Kebbiは、国土交通省認定の機器として、運行管理者に代わり点呼業務をサポートする自動点呼システムです。
Kebbiの主な特長は以下のとおりです。
・乗務前後の点呼をロボットが代行し、負担を軽減
・点呼記録簿を自動作成し、クラウドで一元管理
・測定者の顔写真付きで記録を残し、不正を防止
・ロボットが的確な指示・伝達をサポート
乗務前後の点呼業務をスムーズにサポートし、点呼の品質向上と平準化を実現できます。無料でオンラインデモも実施していますので、点呼業務の改善にお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
まとめ
中間点呼は、乗務前と乗務後の両方で対面点呼(または法令に沿ったIT点呼)が行えない場合に義務付けられます。2泊3日以上の長距離運行や、運行計画変更で対面不可となった複数日運行、分割休息をともなう運行では特に注意が必要です。
中間点呼を怠ると車両停止などの行政処分だけでなく、事故やトラブルのリスク上昇にもつながります。こうした事態を防ぐためには、配車の工夫やITツールの活用により点呼業務の負担を減らすことが大切です。
確実な点呼業務で事故を未然に防ぎ、運行管理者の負担を減らしたい場合は、ロボット点呼「Kebbi」の導入をご検討ください。